カカシ先生長編改造計画 | ナノ


歓迎会当日。
会場である飲み屋「酒酒屋」に雅美さんと向かう。

横を歩く彼女の顔は思わず笑ってしまうくらいあからさまに強張っていた。
感情がすぐ面に出てしまうところが、素直で彼女らしい。

「…雅美さん、大丈夫ですか?」
「うぅ…緊張してしまって…。」

眉を八の字に下げて俺を不安そうに見上げる瞳に思わず息を飲んだ。
毎日職場で接しているうちに、自然と湧いてしまう感情。
カカシ先生からきつく釘を刺されているというのに、自分自身に心底呆れる。

「カカシ先生が来るんですから、心配ないじゃないですか!」

わざと彼の名前を出して戒めた。

「カカシさん、任務が長引かなければいいんですけど…。」
「確かCクラス任務だったでしょう?いやー、カカシ先生なら朝飯前ですよ。
 写輪眼使うまでもないでしょうから、元気に帰ってきますって!」
「…写輪眼って、使ったり使わなかったりするものなんですか?」

少し控えめに尋ねた彼女。
その内容に面食らう。

一緒に暮らしているのに、写輪眼についての知識が彼女には全くない。
あんなに執拗に隠している左目、普通ならば気になるものではないのだろうか。

「…彼に写輪眼について聞いてみたことはないんですか?」

俺の問いかけに、彼女はどこか苦しそうに眼を伏せた。
途端に速くなる鼓動に俺はできるだけ気付かないふりをする。

「なんだか、軽く聞いたりするのが失礼にあたってしまう気がして…。
あの傷跡、きっと辛いことがあったんじゃないかなって思うから。
…それに、私に話す必要があればカカシさんのほうから話してくれる筈ですし。」
「雅美、さん……。」

静かな声で、しかし凛とした態度で紡がれた言葉。

羨ましい。
そんな感情を抱くことすら筋違いなのだと思う。
けれど彼女のカカシ先生に対する接し方が、とても思いやり深く、健気で。
そんな風に想われている彼が妬ましくて、心の奥で燻ぶる熱。

どうかこれ以上その熱が広がらないように。
そう願った。


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