カカシ先生長編改造計画 | ナノ


「んで、初仕事はどうだったの?」

グリルの中の秋刀魚をひっくり返しながら、隣で味噌汁に入れる豆腐を切っていた彼女に問いかける。

「始めは緊張しましたけど、皆さんとても丁寧に教えて下さって助かりました。
 仕事内容の方も基本的に事務なので、私でも何とかやっていけそうです。」
「それは良かった。
 あそこは万年人手不足だからね、雅美ちゃんが来てくれて喜んでるヨ、きっと。」

そういえば、と、俺に味見をしてもらおうと小皿に取った味噌汁を手渡した彼女が思い出したように話を続ける。

「あの、ゲンマさんって方が、私の歓迎会を開いてくれるっておっしゃってくれて。」
「ゲンマが?」

(あいつ…、ほんとにこーゆう事だけは素早いな。)

一番釘を刺しておかなきゃいけなかったのはあいつだった、と目を伏せて考えていると、雅美ちゃんは俺を窺うように覗きこむ。

「い、一応始めにお断りしたんですけど、話が進んでしまって…。」
「んー、ま、いいんじゃない?
 雅美ちゃんにとっては里の上忍達と知り合ういい機会だしね。」

本来ならば歓迎会など行かせたくはなかった。
女に飢えた野郎共に雅美を紹介するなんて気が気ではない。
しかし待機所で働く以上、上忍達とは知り合っておいたほうが彼女のためには良いだろう。

「大丈夫でしょうか……。」
「曲がりなりにも忍だからね。ワケありだって説明すれば雅美ちゃんの素性について深く突っ込んでくるようなことはしないでショ。」
「それも心配なんですけど……私、すごく人見知りで…。」

俯きながら不安そうに呟く彼女が可愛くて、思わず顔を綻ばせた。

「大じょーぶ。必ず俺も行くから、ずっと横にいればいーヨ。」

小さな頭に手をのせてニッコリ微笑むと、彼女も安心したような笑顔を見せる。
少しだけ眉尻が下がったその笑顔に、心の奥がふわりと温かくなった。


夕食の片づけを終えて、風呂へと向かう彼女の後姿に声をかける。

「雅美ちゃん、後で術式確認させてね。」
「は、はい!」

彼女はこちらを振り返らず返事をすると、足早に洗面所へ向かった。

3日に1度、彼女の左胸に記された術式を確認するのが決まりになっている。
もう数度は確認しているが、今のところ何の変化も見られない。
術式は左胸、鎖骨の5cm程下辺りから15cmに渡って記されている。
雅美ちゃんは、仕方がないことだと割り切ろうと努力してくれているが、異性に肌を見せるという行為にいつまでも慣れることができないようだった。

俺もこればかりはやはり女性のほうが良いとは思う。
しかし術式を実際に見たことがある者はこの里内でもかなり限られているので仕方がないのだ。



「特に変化は見られないね。」
「……そうですね。」

シャツを直しながら雅美ちゃんが残念そうに俯く。

この術式が鍵となっていることは分かっているのだが、それを消す術が見当たらないのだ。
五代目が何度か仙術を試みるも、彼女には一切チャクラが効かないので全く効果がない。

はぁ、と重い溜息を吐く雅美ちゃんに対し、俺は何と声をかければいいのか分からなかった。
大丈夫、そのうち、などの唯の気休めは言い尽くしていたから。



                       
 

prev / next
[ back to top ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -