また、いつものあの夢を見た。
ゆっくりと意識が戻るにつれて、夢の記憶は薄れていく。
それもまた、いつものこと。
まだぼんやりとした視界の中、自分が知らないベッドに寝かされていることに気付く。
慌てて身体を起こした途端に酷い吐き気と頭痛に襲われ、思わず口元を押さえた。
(うぅ……、何コレ、気持ち悪いっ…。)
「急に起きちゃー駄目だよ。」
「!!?」
真横から聞こえた声に驚いて振り向くと、眼に入ったのはサラサラの銀髪。
(ああぁ…、こっちは夢じゃなかったんだ。)
がっくりと項垂れる私に、はい、とコップに入った水を手渡すカカシ先生。
一瞬警戒して受け取るのを躊躇う。
しかし、片方だけ見えている眉を下げて精一杯心配気な表情を作る彼に、なんだか肩の力が抜けてしまった。
「ありがとうございます…。」
素直に水を受け取り一口飲むと、少しだけ気持ち悪さが解消される。
「………………。」
「………………。」
何とも言い難い気まずい空気が流れる部屋。
酷く居心地が悪い。
(ど、どうしよう……。)
続く沈黙に精神が限界に達しそうになった時、
ガラッと大きな音を立ててドアが開き、金髪火影と傷だらけの男が現れた。
ドクンと嫌な音を立てた心臓から送り出されるように、
体中を不安と緊張が走るのを感じた。
「気分はどうだ?」
「…ヒドイ二日酔いって感じです。」
金髪火影はハハハ、と軽く笑った後真剣な面持ちで私と向き合う。
思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「多田雅美、お前の取調べ及び身体検査が終了した。」
取調べが終わった。
その言葉を聞いて一瞬胸を撫で下ろしたが、
まだ自分の身が安全だと決まった訳ではないのだと気づく。
「まずはひとつだけ聞いておきたい。
お前の左胸にある文字は自分で書いたのか?」
「……はい?」
彼女の言っている意味が分からず、自分の胸元に視線を落とす。
身体検査の時に着替えさせられたのか、もともと着ていたTシャツ短パンではなく、
前で交差して着る手術服のようなものを着ていた。
左胸の上に黒い筆で書かれた様な文字が眼に入り、ぎょっとした。
4つの漢字の様にも見えるそれはいつの間に書かれたのか、全く覚えがない物だった。
思わず指で擦ってみるが、文字は滲む気配すらない。
何から何まで説明のつかないことばかりで、言い知れない恐怖が襲う。
「あの、私が書いた物ではありません。
…何て書いてあるのかさえ分かりません。」
「………そうか。」
そう一言だけ言って、目線だけで会話をするようにやたら神妙な顔で頷き合う私以外の三人。
部屋を取り巻く異様な空気の中、私の身に不
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