カカシ先生長編改造計画 | ナノ


薄明かりの中ベッドの横に立つ女の姿を見る。

(なんだ、まだ子供じゃないの。
身長から言って、ナルト達と同年代か?15,6歳ってところか。
…それにしても、随分とまぁ………。)

Tシャツと短パンだけを身につけた少女は、小さな身長の割に大人びた体つきだった。
女らしい丸みを帯びた胸や腰。
Tシャツの袖からはすらっと白い二の腕が伸びている。
くりっとした黒目がちの瞳。ふっくらとした薄い桃色の唇。
サラサラしたストレートの栗色の髪は、背に届くほど長い。

(可愛らしい女の子だこと。)

おっと、見惚れてる場合じゃないな、と気を引き締めて少女と向き合う。

「さてと、まずは名前を教えてもらおうか。」
「…そのお面は猫ですか?どうしてお面なんて……。」
「ん?あー、ま、やっぱ不用意に顔見せられないじゃない?ま、気にしないでよ。
 ちなみにコレ狐ネ。」
「キツネ・・・。」

(それ、今この状況で聞くことか?何かこの子、緊張感ないな……。)

自分の言ったことをただ繰り返すように口に出す少女を見て、
思わず苦笑いが零れた。





―――――――――――


頭が混乱しすぎて意味の分からない質問をしてしまった。

(顔見られたらまずいって・・・、有名人なのかなこの人。)

時間が経つにつれて少しずつ気持ちが落ち着たようだ。
見た目は怪しすぎるこの男性も、幸いちゃんと話し合えるようで安堵する。

とにかく状況を把握して、できれば警察に行って、
明日も仕事なのだから早く帰らなければ。

よし、と心の中で気合を入れて男性と向き合った。

「名前は、多田雅美 と申します。」
「 多田 ……、聞いたことないな。」
「どうしてあなたの部屋にいるのか自分でも分かりません。
ここは、一体どこしょうか?できれば警察に行きたいのですが……。」

そこまで一気に言い切ると、お面の彼はコテッと首を傾げた。

「けいさつ?ここは火の国、木の葉隠れの里。
このアパートの場所は上忍待機室のすぐ近くだよ。
君はこの里の人間……じゃないよね。見たことない。」

(……どうしよう、突然意味が分からない。
今この人ひのくにって、このはがくれのさとって言った??
なんだっけそれ、どこかで聞いたことあるような……。)

男の言葉が何かひっかかったが、
明らかに的外れである返答に頭が廻らず、思い出すことができない。

「あの、ここは千葉市の花見川ではないんですか?じゃあ、最寄の駅は??」
「はなみ川なんて川は火の国にはないネェ。エキってなに?」

(えぇー……。)

どんなに簡潔に質問をしても、的外れな答えしか返ってこないことに段々焦り苛立っていく。

(この人と話をしても駄目だ。とにかく外に出れば住所は分かる。)

「あの、外に行きたいです。コンビニとか近くにありますか?」
「……そうね、このまま話してても埒が明かないみたいだし。火影様の所へ行こう。」

「―――っ!!!」

火影という単語を聞いて、やっと思い出した。

火影、火の国、木の葉隠れの里。
それは職場の友人から聞かされた単語だった。

人気少年漫画【ナルト】。

目の前に立つ彼は、先程から真面目に漫画の中の話をしているのだ。
衝撃の事実に、ただただ呆然としてしまう。

この人はおかしいヒトだ。

どうにかして他の人に連絡しなければ、と打開策を考えようと眼を閉じる。
しかし、突然グッと手を握られた感覚に、飛び上がる程驚いた。

「キャアッ!!」
「ワ、そんな悲鳴上げないでヨ。瞬身で連れて行くだけだから。掴まって?」
「ちょ、ちょっと離してくださいー!しゅんしんって何!?」
「瞬身知らないの?忍に会うのは初めて?」
「し、し、忍って忍者!?あ、当たり前です!
ていうか今時忍者なんているわけないですから!!」

はぁっはぁっと声を荒げて興奮しながら捲くし立て、
掴まれた手を払って男を睨みつける。

男はお面の上からポリポリと人差し指で頬を掻くと、ペコッとお辞儀をした。

「初めまして。忍者です。」
「………にんじゃ。」

思わず呟いた。




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