カカシ先生長編改造計画 | ナノ


カカシさんがゲンマに嫉妬していることは、冷静を欠いた彼の様子ですぐに分かった。
今まで見たことが無いくらい男の眼をしていたカカシさんに、ぞくりと背筋が粟立つ感覚。
そこには特別な想いがあるのだと、その事実が言葉にならないくらい嬉しかった。

けれど、私の手首を掴んだまま上げている彼から、甘い香りがした瞬間……頭に浮かんだあのくの一の顔。
店にいる間中べったりとくっついていた二人の姿を。
腕を組んで二人で出て行ったあの背中を。
胃がキリキリと痛む程の、あの醜い感情を思い出してしまった。

自分のどこからこんな大きな声が出たのだろう。
私の言葉に驚いたのか、カカシさんの力が一瞬緩んだ隙に力いっぱい腕を払った。
彼は宙に浮いた手をそのまま頭に持っていき、ポリポリと掻きながら溜め息をつく。

「……今あいつの話は関係ないでしょうヨ」

『あいつ』という呼び方が2人の仲の親しさを表しているようで、ますます頭に血が昇った。
自分がお門違いな怒りをぶつけていることは分かっているのに……止まらない。

「それを言うなら、ゲンマとのことだってカカシさんには関係ないです」
「そういう訳にはいかないよ。雅美ちゃんが異世界から来たってことが公になったら困るから俺が傍にいるんでしょ」

どこか面倒そうに放たれた台詞は、私の僅かな期待や希望をバラバラに打ち砕いた。

それは紛れもない正論で。
カカシさんは何も間違ったことは言っていなくて。
けれど私にとってその言葉は最も聞きたくないものだった。

カカシさんが私の傍にいる理由。
それが彼にとって任務以外の何物でもないのだということ。
まさにその事実を、本人から真っ直ぐに突き付けられたのだから。

カカシさんを少しでも理解できたと思ったのは、ただの驕りだった。
心と心が近づいたのだ思っていた自分が恥ずかしくて、情けなくて。

今すぐにこの場から消えてしまいたかった。


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