「おい、青葉。良いか?」



そこへ庄子越しに、土方が声を掛けてきた



『ああ、大丈夫だ』

「邪魔するぞ…って、和泉はどうした?」



室内へ足を踏み入れた土方だったが、和泉を見て目を見開く

だが青葉は顔色一つ変えず



『ほっとけ、自業自得だ』

「あぁ、そうする」

「…土方さん、酷っ…」



余りにも即答地味た土方の返答に、落ち込みが隠せない和泉

そんな和泉を放置して、二人の会話は続く



『で。なんかあったのか?』

「客が来てんだ」

『客?』



土方の台詞に、僅かに青葉の眉が潜む

対する土方は肩を竦めながら、視線を和泉に向けた



「あぁ……和泉に、な」

「What?私?」



話を急に振られた和泉は、首を捻る

青葉は、僅かに目を細めた



『……あぁ、そういう事』

「あぁ」

「え?え?」



二人は何処か納得した表情を浮かべていたが、和泉は今だ首を捻るだけ

そんな彼女に、青葉は口を開いた



『和泉、迎えが来たぞ

「…………What?」



目をこれほどか、と言う位に和泉は見開く

それと同時に、庄子が再び開かれた



「帰るぞ、和泉っ!」

「と、と、トシィ!?」



そこに居たのは、まごう事なき【和泉側の土方】

彼の急な出現に、和泉はピシリと固まる



『本人も反省はしてるみてぇだ、後はお前等で何とかしな』

「すまねぇ、青葉。歳三も悪かったな」

「今更言うか」



気まずそうに頭を垂れる和泉側の土方に、二人はつい苦笑を漏らす



「和泉、帰るぞ」

「あ…」

『和泉』



戸惑う和泉に、青葉が優しく声を掛ける

彼女が振り向いたその先には、穏やかで優しい笑み


それに吊られる様に、和泉も笑みを漏らす



「ありがと!鈴々音姉!土方さん!」



そう言うと和泉は土方を連れ、颯爽と白河城を後にした


残された二人はと言うと――



『「…俺達を巻き込むな…」』



二人が帰った後、安堵の息を吐き出したそうな



犬すら食わぬ 完

オマケ⇒


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