そうなのだ

ここ最近、和泉は良く城を抜け出す様になり

それが二人の、悩みの種になっていた



『………』



和泉の様子が以前と違うのには

何等かの理由があるのでは、と青葉は思案していた



『……兎に角だ、和泉は任せろ』

「………あぁ。任せた」



重い溜息を漏らしながら、退出する土方

彼女は土方の後ろ姿を眺めながら、ぼんやりと思案に走る



『理由ね。思い当たる節ったら……』





所変わって、白河城付近の河原


河原に向かい、膝を抱えて座る女子

――和泉の姿があった



「………」

『…此処に居たか』



聞き慣れた声色が背後から聞こえ、和泉が振り向くと

呆れた表情を浮かべた、青葉の姿があった



「……鈴々音姉」

『なんぞあったか?』



問い掛ける彼女の声音は優しく

和泉は恐る恐る、口を開いた



「トシと………喧嘩した………」

『………そうか(やはり、な。二人の事だ、くだらないネタで喧嘩したんだろうな)』



しょぼくれる和泉を横目に、青葉は内心で溜息を漏らす


和泉の様子が可笑しい原因を、彼女は大体把握していた

それは和泉を妹当然に慕うが故



『で。今更後悔してる、と?』

「……うん」

『阿呆』



落胆する和泉に、青葉はサクッと即答

それについつい和泉は、涙目になってしまう



「………ひど」

『お前な…前の威勢はどうした?』

「だって……」



河原にゆっくりと腰を下ろし、青葉は和泉の隣に胡座をかく



『だってもあるもんか。喧嘩した理由は知らんがな、てめぇの男位信じて支えてやらんでどうする?』

「ゔっ゙…」

『……図星かい…』



苦笑いを浮かべながら、彼女は和泉の頭を優しく撫でる

それに和泉は気持ち良さげに、目を細めた



『一度決めた事は貫く、だろ?忘れたか?』

「…ん、だねっ!」



次第に和泉らしさが戻り始め、表情に笑みが浮かぶ

不意に青葉は、何かを思いついた様に口を開いた



『んで。喧嘩の原因って何だ?』

「Ah-、一月に私が食べるお菓子の量…」

『………(くっだんねぇ理由)』



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