『何で煤払いをこの時期やるんだぁぁっ!!!』

「………仕方ないだろ」


甲高い悲鳴じみた声色が、新選組屯所に響き渡る



年の暮れ

屯所では、通常業務と平行して煤払い(すすはらい)が執り行われていた


―――だが



『有り得ないっーの!煤払いは十三日にやるのにっ!!!』



そうなのだ

世間一般的に煤払いは、十二月十三日に行われる


年の暮れに行うのは可笑しい



余談だが、煤払いの説明を簡易に説明しておこう

煤払いは古くから続く、大掃除の事である
現在でも寺社仏閣においては煤払いと称している

本来は十二月十三日に行われていた
これは徒弟奉公などの人々が新年に間に合うよう、里帰りの旅路の時間を考慮して行われていたからである



青葉が怒り狂っているのは、その煤払いを何故年末にやるかだ



「んな事言うな。年の瀬の忙しさに紛れて、市中見回りが手間取っちまったんだからよ」



そんな彼女を、溜息混じりで宥めるのは土方だ


ここ数日、年の瀬を狙っての犯行が目に見えて増加

それに伴い、新選組の活動も頻繁になった


となると、大掃除などやってる暇がなく

―――今に至る



「隊長〜!こっち終わったよ〜!」



軽快な声色と共に顔を出したのは、特務隊所属の佐助

――だが



『…………佐助。割烹着と姐さん被り、似合うな』

「…………てか似合い過ぎだろ」



長着に袴、そして割烹着と姐さん被り

それが今の佐助の格好である



「……止めて、二人共。惨めになる……」



涙目になりながら、佐助は落胆する

確かに割烹着が似合う忍もどうかと……



「それはともかく、俺様の担当部署は終わったよ」

『流石、佐助』



感心の声を上げる青葉と、口元を緩ませる土方

だが佐助の表情は、心なしか強張っている



「ただねぇ…沖田の旦那や永倉の旦那達が終わってないみたい…」



暗転



『「……あいつらぁ〜!!」』



激怒する二人を、佐助が慌てて宥めに入った



「まぁまぁ、俺様が助っ人に行くから。千鶴ちゃんもそろそろ終わるみたいだから、彼女にも声掛けておくよ」




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