開店当時からは、客層は若い世代だったのだが

鈴々音が入ってから、彼女の女性としての気遣いさのアイディアが、他の世代の客層を呼び寄せたのだ


実際彼女が入社してからの売上は、うなぎ登り



『5番テーブル、メイン出来たぜ!』

「鈴々音君。今の内に休憩入ってくれ」



彼女に声を掛けたのは、店長の近藤

彼の人柄で、何度も足を運ぶ顧客もいる程



『今、ですか?』

「行っちまえ、今なら何とかなる!山南さんがフロア出てくれてっからな」



厨房で豪快に鍋を振るっている美形男性が、鈴々音に叫ぶ

彼は厨房スタッフチーフの土方。厨房は彼を中心に、回っている


今厨房には姿はないか、土方の言葉に出てきた山南という人物

彼は【White true】の経理担当で

かきいれ時になると、フロアと厨房を行き来出来る実に有能なスタッフだ



『分かりました』



近藤と土方に軽く会釈をすると、彼女は厨房裏口から姿を消した



***



数十分後



『戻りました』

「………早くねぇか?」



厨房にひょっこり戻った鈴々音に、土方は眉を寄せる



『高校生'sがまだ休憩取ってませんよ』

「………そうだった」

『一!お前先に入りな!』



急に声を掛けられた斎藤は、ついカプチーノを入れていた手を止めてしまう



「俺、ですか?」

『休憩は不規則なローテーションになるったろ?』

「……分かりました。後はお願いします」



少々腑に落ちない表情を浮かべながら、斎藤は二人に会釈をする

すると鈴々音は、彼にこっそりと耳打ちをした



『(千鶴は佐助ん所だ、早く行ってやんな)』

「っ!!??……了解しました」



――そして

最後のお客様がお帰りになり、Closeの看板が掛けられた



「これにて本日の営業は終了だ!皆、良く頑張ってくれた!」

「「「「「「「『お疲れ様でしたっ!』」」」」」」」



フロアにスタッフ一同が集まり、営業終了後に行われる終礼が行われていた


スタッフの中央に店長の近藤、左右に厨房メインチーフの土方と鈴々音が並ぶ

その前に他のスタッフが並び、少し離れた所に経理担当の山南の姿があった



「皆良く頑張ってくれた、明日は休みだ。ゆっくり休んでくれ」



近藤に続く様に、土方が続く



『営業は明後日から開始だ、各自シフトを確認しといてくれ』



土方から引き継ぐ様に、鈴々音が続いた

その彼女が少し離れた山南へ、視線を向ける



『山南さん、何かありますか?』

「皆さん、本日は大変お疲れ様でした。頑張って頂いたお陰で、本日の売上は前年比より4割増しになりました」



これにスタッフは皆、歓喜

4割増しの売上は、今まで最高の結果なのだ



「4割増し!?すっげー!」

「そりゃあ、あれだけ混んでれば納得だよ」

「うむ、納得だ」



その報告に、高校生バイトsが笑みを深める

上から藤堂、沖田、斎藤の3人。彼等は主にフロア担当



「お客様は皆様、満足した表情でお帰りになられましまよ」

「そっか!良かったぁ!」

「死に物狂いで頑張った甲斐があったな!」



山南の言葉に、厨房スタッフが顔を見合わせて笑みを浮かべた


上から永倉、原田

彼等は厨房スタッフで、原田はデザート担当、永倉はパスタ担当


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