12月も半分が過ぎた頃

1歩外を出れば、街はクリスマス一色で賑わう



『…………相変わらずだよなぁ』

「お姉ちゃん………」

『ヘイヘイ…』



そんな街中を、二人の姉妹が闊歩する


1人はすらっとした長身で、男性と見違える程の顔立ち

きりっとした服装が、その整った顔立ちをより引き出す


傍らを歩いているのは、柔らかな笑みを浮かべる少女

穏やかな雰囲気を醸しだしているソレは、周囲の人達をも和ませる程

落ち着いた服装がその雰囲気を、より高めている


姉の名は、伊達 鈴々音

妹の名は、雪村 千鶴


街中でも有名な、義姉妹である


そんな彼女達が、街へ繰り出した訳とは……



『しかし…良く一も、クリスマスに時間取れたな。【White true】はかき入れ時だろ?』

「うん…休憩時間に抜け出してくれるって…」

『かぁ〜愛されてんなぁ』

「お姉ちゃんっ!」



【White true】とは…巷で有名な、イタリアンレストランだ

料理やサービスもさる事ながら、スタッフがイケメン揃い


特に女性に人気だが、その料理の味に足を運ぶ人達も少なくない



そんな【White true】のスタッフの一部は、実は高校生

その1人、斎藤 一と千鶴は付き合っていた



『はぁ…私なんか休みねぇぞ』

「そう言えば…良くお休み貰えたね?」



不思議そうに首を傾げる千鶴に、鈴々音は渋い表情を浮かべた



『もぎ取ってきたんだよ。有り得ねぇよ、8日連続出勤なんぞ。唯でさえ体力勝負な職場なのに、殺す気かっーの!!!』

「お姉ちゃん、落ち着いてっ!!」



鈴々音は【White true】の唯一の女性スタッフ


事の始まりは千鶴が、彼女手作り弁当を持っていった事から始まった

その見事な弁当に目を引かれ、一口味見してみると絶品で


その事を彼等が上司に話し、彼女にスカウト話が持ち上がったのだ



元々鈴々音は料理に携わる仕事に就きたかったのだが、世間の不景気により断念

OLで生活していた所に、このスカウト話だ。彼女は断る事なく了承


今や【White true】の厨房メインスタッフの一人として、日々忙しい毎日を送っている


そしてその事がきっかけで、千鶴と斎藤の仲が進展。付き合う様になった訳だ



『………休憩のローテーションは、ランダムだからな。佐助に事情話して、待たせて貰え。私からも話しておく』

「ありがと…お姉ちゃん」

『さて。店が混まない内に、ちゃっちゃか買い物済ますか』

「うんっ!!!」



■■■■■



――時は流れ、クリスマス当日


【White true】はと言うと、フロアは満員御礼

厨房は……



「1番テーブル、メイン上がったぞ!」

「3番テーブル、デザート入ります!」

「ロースト、切れましたっ!」

『在庫あっから、とっとと持ってこいっ!』



……戦場と化していた



フロアの穏やかさとは打って変わり、男達の声と唯一の女性スタッフの鈴々音が飛びまわっている


【White true】は若いカップルにも人気があるのだが、夫婦や老夫婦にも人気があった

それは客に応じた細かなサービスと、料理の繊細な気遣いさにある




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