「青葉兄ぃぃ!!」



全ての事が済み、幹部達が大広間へとまた集まった

そこで和泉は青葉に勢い良く抱き着く



『ぐはっ!!……和泉、の反応から、見て……やはり悪餓鬼か、来たか……』

「もう何処に突っ込めば良いか、俺は分からなくなってきたぞ…」



和泉の激突に耐えつつも、冷静な分析をする青葉に、歳三は表情を引き攣らせる



「しっかし、物の見事に青葉の読み当たったよなー」

「どんぴしゃり過ぎて、俺は怖い位だよ」



左之助に同意する様に、新八が続く



さて今回の作戦の説明に入ろう

強襲部隊は五十人。内十三人が正面から、残りが裏口からの奇襲

そこで青葉は幹部を二手に分け、奇襲を阻止


また頭が正面から来る、と分かっていたので

わざと屯所内に誘い込み、ダブル土方で挟み打ち

勿論その為だけに、歳三は広間待機だった


因みに青葉はと言うと、広間での全体指揮はもとより

連中が火薬を大量に仕入れ、屯所で自爆しない事もないので、それの対処役でもあった



「(青葉兄、あの刀って…)」



和泉がそっと小声で青葉に話しかける。彼女を気遣かっての事だろう

それに青葉は口元に指一本持っていき、笑みを浮かべる



『(お前の考えてる通り、さ。黙っててくれよ?)』

「(了解♪)」

「…そういやさ。二人って、戻れるの?」



何気ない沖田の一言に、歳三と青葉がピキリと固まった



「……だ、大丈夫……だよな?」

『……書類は……溜まってそうだが、な』



乾いた笑みを浮かべる二人に、皆が同情する視線を投げたのは言うまでもない


刹那――


ガタンという物音と共に、大広間へ何かが投げ込まれた

それに気付いた幹部達は、直ぐに臨戦体制に入るものの…



「あ、れ?」

「…眠い…」

『…くっ、睡眠、薬かっ…』



急に立ち込めた白煙に、大広間の誰もが意識を手放す

暫くして白煙が消え去ると、二つの物影が大広間に侵入した



「ったく…風間の野郎…雪村見た途端に暴走しやがって…」

「全くあの方は……ああ、いらっしゃいましたよ」

「おおっ!!本当に土方が二人いやがるぜ!!…ん、コイツは?」

「多分別の世界での、和泉さん的な存在の方でしょうね」

「んじゃコイツも巻き込まれたクチか…悪りかったなぁ…」

「急ぎますよ、彼等を本当の世界に戻して差し上げないと」

「だな!俺らの術の暴走が原因だし…」



彼等は歳三と青葉に手を構えると、何かを呟く

すると途端に二人の姿が、光り輝き始めた


そしてその姿は、暫くすると忽然と消えてしまう



「これで彼等は、元の世界に戻れた筈です」

「うしっ!んじゃ俺らもズラかるか!!」

「そうしましょう」



二つの陰は颯爽と消えていった


そして和泉達が気付き、二人の姿が無い事に騒ぎ出すのは、もう少し後の事



縁 ―えにし― 完




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