この騒ぎに、風間達が強襲する可能性が無くも無い

その阻止に和泉と近藤、井上の三人に、千鶴の警護に当たって貰っている


山南と平助は羅刹隊が暴走しない様に、防止役に勤めていた



『山崎。計画通りと、山南さん達と和泉達に通達。

並びに監察隊を引き連れ、屯所周囲の被害拡大の阻止に当たれ』

「御意」



山崎は彼女に頭を垂れると、風と共に姿を消す

青葉は前方に置いてあった歩を一枚、中央に持っていく



『さぁ…Finale、といこうか』








再び場所は変わり、正面入口

十三人の浪士達を完全制圧した土方・斎藤組



「土方副長、浪士の一人が屯所内に侵入しました!」

「ああ、良いんだ。放っておけ」



一人の隊士が慌てて土方に報告するが、彼はあっけらかんと断言した



「………は?」

「奴はワザと屯所内に入れたのだ」

「なっ!?」



颯爽と歩いて来た斎藤の言葉に、隊士は目を見開く



「安心しろ、これも予定通りだ」

「予定…通り?」



目を瞬かせる隊士を余所に、斎藤は土方へと口を開いた



「副長、こちらは俺にお任せ下さい」

「ああ、済まない」



そう言うと土方は、何故かこっそりと屯所内へと向かう

その姿に隊士は首を傾げるだけだった







「はぁ…はぁ…」



一方。屯所内に侵入した男は、気配を殺しながら推し進む

男の真の狙いは、新選組局長 近藤勇 暗殺


だがその狙いも新選組は既に把握済み



「そこまでだ」

「っ!!」



地を這う様な低い声色に、男の身が縮こまる

振り向いた先には――



「ひ、土方……!?」



先程逃げ切った筈の、人物が眼前にいる

その事に男はただただ、驚愕するだけ



「何だ、幽霊を見てる様なツラだなぁ?」



ニヤニヤと笑う彼に、男は後退る


一方。その光景を大広間から眺めていた青葉は苦笑い



『楽しんでんなぁ』



彼女の眼前にある盤の金将の所に、対峙する様に歩が一枚置かれている

そして青葉は銀将を手に取ると、歩を金将と挟み打ちにした



『Check Mate』



口元を上げて笑う彼女が、視線を上げる

その先には――



「な、な……土方が二人だと!!??」



二人の土方が男を挟み打ちにする光景



「「これで仕舞いだ」」



綺麗に重なる低い声色

男は恐怖で震えていたが、意を決した様に長着を開けた



「「何っ!?」」



二人が驚くのも無理は無い、男は全身に火薬を巻き付けていたのだから

そして手には火付け石が


そこへ報告の為にか、和泉がやって来てしまう



「What?」

『ちっ!トシ!!六爪許可!!』

「くっ…仕方ねぇ、許可する!」



大広間から素早く飛び出した青葉は、腰元の刀を空へ放り投げた



『六爪解禁 ―八咫烏(やたがらす)―』



彼女が呟くと同時に、男の身体に巻き付かれていた火薬は木っ端みじんに


そして青葉の手元には六本の刀の姿が



「……竜の爪……政宗様とおんなじ……」




かくして、彼等の野望は砕かれた

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