気絶している三人を何とか部屋へと運び

政宗と青葉は、今後の対策を練っていた時だった――



「隊長ぉぉっー!」


「What、猿?」

『あり、佐助?』



政宗の自室に、佐助が飛び込んで来た



『お前も戻ってたんだな』

「うん、そうなんだよ〜」

「てかよ、猿…そのツラ、何があった?



政宗の指摘に、佐助は苦笑いを浮かべる


実は佐助の顔が、ボッボコに腫れ上がってるのだ



『…もしかして、佐助の戻った先って…甲斐?』

「………うん………」

『てーと?それ………幸村、か?』

「………俺様、本気で仕事変えたくなった」



二人から視線を逸らして、佐助は何処か遠くを見つめる

その姿は哀愁まで漂う始末


そんな彼に、政宗と青葉は内心で同じ事を呟いた



「『(…幸村、自分の忍をもう少し労れよ…)」』

「…それはさておき」



一拍置き、佐助は話を変える

彼の真剣な瞳に、二人も表情が引き締まった



「実はね、甲斐に居るんだ。新選組の旦那達が」

『…………は?』



佐助の言葉に、青葉は目を見開く



「原田の旦那と、永倉の旦那がね。で。気になって俺様、周辺各国調べてみたら…案の定、皆が居たよ…」

『そ、それはつまり…新選組幹部全員って?』

「そ」



簡潔な彼の返答に、彼女は肩を落とす

政宗さえ苦笑いを浮かべている



「猿、周辺各国ったな?誰が何処に居るか、調べはついてんのか?」

「勿論さ♪え〜と…」



佐助が報告するには――

甲斐に、新八と左之助

北条には、近藤と平助

上州には、総司と山南


が、こちらにやって来ており

そして、どうやら受け入れられているそうだ



『…虎のおっさんと、北爺ぃは何となく理解出来る…何で軍神さんトコに、うちの癖の強い奴が固まる?』

「さぁ…それは、俺様にも分からないよ…」



苦笑いを隠せない佐助

落胆の息を吐き出した青葉は、政宗に向き直った



『……どうする?』

「Ahー?…全員馴染んではいんだろ、猿?」

「一応はね。ただ皆、こっちに来た原因が分からないって」



佐助の言葉に、青葉はしばし思考に浸る



『………政兄、最近【こっち】で何かなかった?』

「Ahー、そういや珍しく日食があったな」

『………What?』



眉を潜めた彼女は、政宗に日食が始まった時間等を問い質した



「…どうしたの、隊長?」

『…同じ、なんだ…』

「Why?」

『日食が始まった時間、陽が暗闇に呑まれた時間…全てが【向こう】と』




目を見開く青葉、二人は息を呑む



「別世界である二つの世界に、同時刻に日食が起きた…から?」

『……多分』



仰天しながら言葉を紡ぐ佐助に、彼女は頷く

パンと膝を叩き、政宗は視線を佐助に向けた



「……猿、今から各国回って来い」

「へ、何でさ?」

「突発的に来たっー事は、戻る時も多分突発的だ。だったら…固まっていた方が良いだろ?」



ニヤリと不敵に笑う政宗に、軽く目を瞬かせる青葉と佐助

だがすぐに二人は、彼同様に不敵な笑みを浮かべる



『成る程、ね』

「りょーかい!俺様にお任せあれ、ってね♪」



軽快な言葉を残し、佐助は黒羽と共に姿を消した



「……賑やかに、なるな」

『だな……の前に』



彼女が視線を向けた先には、今だ意識が戻らない三人



『…出来れば早めに、気付いて貰いたいなあ』

「………確かに、な」



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