【トシのマンションで待ってる】…とだけ



実は土方、家庭の都合で一人暮らしをしている


両親は健在だが、今は海外出張中

必要経費その他諸々は親が負担しており、勿論学校側も承認済み



その彼のマンションに、鈴々音が待つとのメッセージに土方は首を傾げた



「(確かに鈴々音には合鍵渡したが…どういう事だ?)」


疑問を抱えつつ、土方は足早に自宅へ帰路に着く




「只今…」



自宅のマンションに帰宅した土方、不意に香ばしい匂いが鼻孔を擽る



『あ、お帰り』



ひょいと、キッチンから顔を出した鈴々音



「……あ、あぁ……」



戸惑いつつも、土方はリビングに足を通す



「………何だこりゃ?」



リビングのテーブルを見た土方は、目を見開いた


テーブルの上には豪華な料理がずらりと並んでいた

少し小振りだが、ホールサイズのケーキまであった



『お祝い』

「はぁ?」



さらっと言いのける鈴々音に、土方は素っ頓狂な声を上げた



『学校とか外じゃ祝えないからね』



そう言いながら鈴々音は、手際良く手巻き寿司を作っていく



「…てかどんだけ作る気だよ?」

『…あれ?こんだけで良いの?』

「……充分過ぎるっつの…』



嘆息する土方に、鈴々音は苦笑を漏らす



『んじゃ、夕飯にしよか?』

「……美味い」

『なら良かった』



鈴々音特製の御馳走に舌鼓を打つ土方

それに安心した様に、鈴々音は笑みを漏らす



『あ、そうそう。忘れるとこだった』



そう言うと鈴々音は、鞄から何かを取り出した



『HAPPY BIRTHDAY』

「……俺に、か?」

『……いらないなら、良いけど?』

「んな訳ねぇだろ!」



彼女が取り出したのは、薄青色の包装紙に包まれた小箱

土方は大切そうに、小箱を受け取る



「開けて良いか?」

『構わないよ』



包みを開けてみると、中身は紺色の質の良い…



「……ネクタイ?」

『トシ、私服の時良く使うじゃない?』

「確かに……サンキュな」



柔らかく笑う土方に、鈴々音は微かに頬を赤らめる



「……泊まってくか?」

『…馬鹿言うな、明日も学校だろうが』




二人の受難は、これからも続く……


ありがとう 完




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