土方歳三は学校内で、女生徒に大人気の男子生徒だ


頭脳明晰、スポーツ万能、剣道部主将

口調は荒いが、根っこは優しいので惚れない女生徒などいない



実は五月五日は、そんな彼の誕生日

だが当日は祝日なので、学校は休み



なので翌日に皆、こぞってプレゼントを渡す



『…相変わらず凄ぇな…』

「…人事みたいに言ってんなよ…」



教室の窓辺から遠目で鈴々音は、人込みに囲まれる土方を眺める

そんな彼女に同級生である左之助は、呆れながら突っ込む



『…やかましい、巻き込まれたくねぇよ』

「そういや、土方さんと鈴々音の関係って…」

『……伏せてる』



土方歳三と伊達 鈴々音は、世間で言う恋人同士というもの


だが。土方に熱烈なファンがいる為、関係を公にせず

二人の関係を知っているのは、親友達など極僅か


はっきり言おう

この二人、付き合って二年以上経つが…

まともにデートしたのは数える位しかない




「…で、どうすんだ?」

『何が?』

「何がって…鈴々音は土方さんの誕生日、祝ったのかよ?」



左之助の問いに、彼女は視線を逸らす



『……してない』

「げっ!?マジっ!?」

『……マジ……』



彼女の答えを聞くなり、左之助は血の気が引く



「勘弁してくれよ…土方さんが不機嫌になったら、部活めっちゃ厳しくなるんだぜ?」

『………この状況で、どう祝えと?』

「………あぁ……」



二人は窓の外の土方を見て、溜息を漏らした



その後も土方への誕生日の贈り物は後を絶たず…放課後には、紙袋五つ分にまでなっていた



「相変わらず凄いですねぇ♪」

「…るせぇ…」



放課後。剣道部の部室に響く、軽快な声色

剣道部エース・沖田総司は満面の笑みで、土方の戦利品を眺めた



「毎年の事ながら、凄い凄い♪でも土方さん、何でそんなに不機嫌なんですか?」

「……不機嫌じゃねぇ」



と言いつつも。眉間に皺を寄せ、土方は刺々しいオーラを放つ

首を傾げる総司を、左之助が手招きした



「(鈴々音にまだ祝って貰ってねぇからだよ)」

「(……あぁ、成る程。納得…)」



哀れみの視線で土方を見る


実は土方も過去何度か、鈴々音との関係を公表しようと考えてはいた

だが彼の熱烈ファンは、常識はずれな行動をする者が多く


彼女の身の危険を案じて、何度も挫折していた



「……キツいよな、あれは…」

「……土方さんだけじゃなく、鈴々音もな…」



剣道部員は二人の関係を祝福し、受け入れた側

だが、下手に動けば二人の立場も危うい


彼らに出来る事は、二人が幸せになってくれと、切に願う事だけだった



***


土方が不機嫌な事もあり、今日の剣道部はいつも以上に厳しく。他の部員達は終了した頃には、フラフラに


帰り支度をしていた土方は、ふと携帯にメールが来ているのに気付く



「(……誰だ?)」



首を傾げながら、メールを開いてみると



【伊達 鈴々音】の文字が


メールの内容は…





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