『これは、どうするべきか』

「いや、止めろよ」



眼前に繰り広げられるは、低レベルで幼稚ながら激しい、男女の口喧嘩

こうなってしまったのには、些か時を遡る……


***


最北端の大地にある、とある高校
土地柄故に農業科も兼ね、更に登校が難しい生徒には寮を格安で提供。因みに私立でなく公立


その高校に私が赴任したのは数年前、いつの間にかベテラン教師に片足を突っ込む程になっていた



『剣道部?』

「そ!顧問になってくれないかなぁ〜なんて…」



苦笑いを浮かべながら、私に話す女子生徒…和泉
彼女は"前世"からの付き合いだ

幕末と言う、動乱の最中
世界を越えて築いた絆は、どうやら来世でも繋がっていたらしい



『…剣道部の顧問は土方教諭だろう』

「それは男子!女子の顧問になって貰いたいの!」

『Ah、そういう事…』



この高校に女子剣道部はない、男子のみだ

和泉が入学し、女子剣道愛好会を作っていた記憶があるが…人数揃ったのか?一定の人数が揃わないと部に昇格出来んぞ



「まだんな事言ってやがったのかよ」

「げっ!?トシっ!?」

『おや。土方弟』



そこへ現れたのは和泉の幼なじみであり、剣道部員の土方歳也

因みに剣道部顧問、土方教諭の実弟である



「…先生…その呼び方止めて下さい…」

『スマン、スマン』



ついつい私は彼をこう呼んでしまう。いや紛らわしいし

すると途端に和泉が目くじらを立てた



「きぃぃ!何度邪魔したら気が済むのさ!!」

「んだとっ!?大体テメェがなっ!!」

『……Ah-.』



突然ギャンギャンと口喧嘩を始める二人だが、この二人の喧嘩は日常茶飯事で最早名物

…被害は多大だが



「何の騒ぎだ?」

『おや、土方教諭』



噂をすれば何とやら

兄である土方教諭が、喧騒に気付いてやってきた

…眉に皺を寄せながら



「あ?トシ?…て事は…」

『お察しの通りで』

「…懲りねぇ奴らだ」

『全くです』



で。冒頭に至る



「どーすんだ?」

『そう、ですねぇ…』



土方教諭がいるのにも関わらず、二人は未だ口論を続行中

恐らく…いや、絶対気付いてない



『"アレ"、行使しますか』

「…仕方ねぇ、か」



このまま口論を放置しておけば被害が出る、と言うより既に出ている

仕方なく私達は未だに口論を続ける、和泉と土方(弟)に口を開いた



『「そこまで!!」』

「『…………」』



私と土方教諭が声を荒げると、口論はピタリと止まる



「それ以上口論してみろ」

『強制労働して貰う』

「ち、ちょ、待てよ!兄貴!!」

「学校では先生だろう、愚弟が」

「強制労働って農業科の罰則で、私達普通科に課せられるものじゃないでしょ!?」



和泉の言う通り
強制労働とは文字通り、農業科で強制的に労働する罰則の事であり

基本的には普通科の生徒には課せられない………が



『お前等な…私が生徒会担当だっての忘れたか?』

「俺は風紀委員担当なんだがな?」



さぁっと、二人の表情から血の気が引いていく



『もう、口論しないか?』

「「しません」」




と美形兄弟

(んでさ。何で弟君はあんなにも反対なのさ?)
(あぁ…和泉が怪我しねぇか心配なんだろ)
(…………Ha?)
(アイツはな、昔っから和泉限定で心配性なんだよ)
(お、乙女…)


***
Happy birthday エイト嬢!
…そしてギリでごめんなさい(/_・、)

→ゆるーい設定
土方歳三/繁桜サイド土方
数学教諭。冷静沈着・厳格な一面があるが、面倒見が良い

土方歳也/紅桜鬼サイド土方
剣道部時期部長。外見は目茶美形なのに、中身は乙男
その為か、和泉に弄られる

二人共外見双子の様にそっくり、尚且つ和泉と幼なじみ


前回の贈り物の続きでスマン!誕生日、おめでとぅ!!


12.05.05.

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