冬の風が染み渡るこの頃

日付は12月を過ぎ、街中はすっかりクリスマス一色。ギアステーションも例外無く、イルミネーションできらびやかに飾り付けされている

クリスマスは特別イベントも実施するので、この期間はとにかく忙しい



「はぁ…疲れた…」

「柳井、大丈夫?」

「ノボリやクダリより、疲れてないよ」



冬休みも近い為か、学生達がこぞって彼らに挑戦してくるしてくる

イベントも近いので余計だろう



「うわぁぁんっ!柳井さぁぁぁぁんっ!」

「…ク、ダリ?」



突然飛び込んできたクダリに、私と佐々木さんは目を白黒させる

だって彼、半泣きしているんだもの



「ど、どうしたんですか?」

「とりあえず落ち着きなよ」

「負けた!負けた!負けたっ!」

「「は?」」



つい佐々木さんとハモる。眼前のクダリは半泣きしながら、地団駄を踏む



「さっきダブルにきた挑戦者に負けた!すっごい強い!」



えと…つまりは、負けて悔しくて泣いてる?



「負けて悔しくて泣いてんの?」

「それもある!けど一番の理由は瞬殺に近かった事っ!」

「……え゙っ!?」



有り得ない
クダリは仮にもサブウェイマスター、地底の王者とも呼ばれているのに…そんな彼をほぼ瞬殺なんて



「次は絶対に勝つ!」

「…手強いでございますよ、その挑戦者は」



そう呟きながら、ノボリが部屋へ入ってきた

心無しか顔色が悪く、制帽を深く被っている

……まさか



「……ノボリ……まさか?」

「そのまさかでございます」



ウソ…ノボリまで負けた!?

驚愕の事実に私と佐々木さんは顔を見合わせる


こんな事、滅多にあるものではない

不意にノボリさんとクダリさんのライブキャスターが鳴り響く



【ボス!マルチに挑戦者や!】

「…ノボリ…」

「…ええ。分かっております」



その報告を聞き、二人はゆらりと動く

その表情は鬼気迫るもので…



「…目が…据わってる…」

「その挑戦者、どんなの?」



佐々木さんの素朴な疑問に、二人は顔を見合わせて答えた



「背丈は僕達より少し低いくらいで、灰色のコートと帽子を被ってた。男の人か女の人か、わからなかったなー」

「私の挑戦者様は男性でございました。黒のコートに、黒の帽子を深く被っておられ、顔を見る事は出来ませんでした」



………灰色?黒?

黒って言ったらまず、ノボリが浮かぶけど…本人ここにいるし


そういえば最近、"彼女"がサブウェイマスターに就任したって聞いたなぁ

確か"彼女"に支給されたコートが灰色だった様な…



「まさか、ねぇ…」



まさかの入者

(まさか自分とバトルする事になるとは…)
(何事も経験だってんだろ、ノボリ。つかバレんなよ?)
(承知しておりますよ、サータ)


***
蚊鳥様への10万hit記念小説
個人的に、佐々木さんが出せて満足(笑)

これで完結しても良し、続きを書いても良し。お好きにどぞ!


11.11.17.

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