「鈴々音大丈夫か?」
「ああ。てかどこだよ、ここ……」


スタッと立派に着地したのは青葉と土方

悠李は総司に抱えられたまま、総司は悠李を抱えたまま固まっている


「……総司、降ろして」
「……うん」



何とか現実に戻ってきた二人は目の前にいる鬼の副長と、見かけない顔の人物を見つめた
鬼の副長と見かけない顔の人物、まぁ土方と青葉の事だが、彼らも総司と悠李に気がついたようだ


一呼吸置いたあと



「「土方さん、その人/その子誰?」」
「「総司、そいつは誰/何者だ?」」


両者で似たような質問をした






道場ではなんだから、と四人は悠李の部屋にやってきた

「……一応自己紹介を。私は望月悠李。新選組幹部補佐をしています」
「俺は青葉紫苑。本名は伊達鈴々音。新選組医療隊隊長兼監察方隊長をやっている」


伊達、という単語に悠李はピクリと反応した


「もしや、まさかとは思いますが……。青葉さんの兄さんは六爪流ですか……?」

青葉は驚愕する

「なぜ知っている?」
「伊達、眼帯、そのコート……すべてがBSRの政宗にそっくりですもん…」


はぁ、とため息を吐く悠李。だが瞳はキラキラと輝いている


「青葉さんの本当の世界は戦国、しかも主要武将が全員そろっていますね?」
「ああ」
「私の本当の世界はここではありません。私は……未来から来ました」





それから青葉と悠李は互いの事情を話し合い、この世界に来たときの状況、現れたときの状況を合わせ、一つの結論を導き出した

「「パラレルワールド」」



つまり、多重空間理論である



「向こうに戻れるまで、青葉と土方さんは私の部屋に待機、でいい?」
「すまんな、悠李」
「いいって、別に。それより女の子が一時期でも増えて嬉しいし」



いつの間にか本名で呼び合うほど仲良くなっている青葉と悠李
しかもお互いの性別に気付いている


と、ここまでで気づいた者はいるだろうか
総司と土方が全く話に加わっていない、ということに


するといつの間にでて行っていたのか、総司と土方が部屋に戻ってきた 


「本当に驚いたよ」
「どうしたの?」

少し疲れた顔の総司を気遣いながら悠李はたずねる


「どうやら僕ら以外の人には姿も見えない、声も聞こえないらしいんだ」
「はい?」
「だから、僕ら以外の人とは話も出来ないということ」
「マジか、でもそれだったら二人を隠しやすいね」



こうして青葉と土方は悠李の部屋に身を置くこととなり、悠李は彼らが元の世界に戻る方法を考え始めた




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