時代(とき)は慶応元年、五月



「鈴々音、そっちの書類を頼む」
「了解」


今日もただ黙々と書類を片付けていく青葉と土方

青葉がBSR世界からこの薄桜鬼世界へやってきて、一年以上が過ぎた


彼女の存在は医療監察方隊長として、大切な仲間として、新選組になくてはならない大きなものとなっていた


「……ん?」


一組の書類を手にし、不機嫌そうな声をあげる青葉

どうした?と訪ねる土方は青葉が持つ書類に目を走らせ、ため息をついた



「…未記入か」
「……ああ」


青葉が持っているのは先月分の隊務報告書

それには己の隊が処理した出来事を、組長が書き記していかねばならないのだが


「まさか、白紙とは……」


そう、青葉の手元にある隊務報告書は真っ白
文字が一字も書かれていないのだ


「……仕方ねぇ」

青葉は立ち上がり、襖に手をかけた

「トシ、ちょっとこいつを書かせてくるわ」
「おう」

ヒラヒラと書類を振りながら青葉は襖を開け一歩を踏み出す
が、突然ピシリと固まった


「……どうした?」

固まっている青葉に土方は声をかける




「………空気が変わった…」
「…また戦国に行くのか?」


青葉と土方が以前BSR世界へ行ったときも青葉は空気の変化を感じた
その時の時と同じような現象が今起こっているのではないか、土方はそう考えたのだ


「…いや、戦国の空気じゃない。この世界と似て非なる空気が、この世界と混じり合っている……」



どういうことだ、そう土方がたずねようとしたとき

中庭の一部の空間が歪み








土方と青葉はその空間に吸い込まれた  


そして青葉と土方の消えた場には一枚の書類が落ちていた



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