「さーてさて、この状況はどったらええの?」


前回同様、すぐに【こちらの新選組】に慣れ
今回はとし……土方さんも居ないので気楽に過ごし

本日は青葉兄の命で薬の調達いや、お使いに町へと出ていたのですが!


「姉ちゃん俺たちと来てくんねぇか?
悪いようにはしねぇぜ?」

「あぁ、ただ新選組の沖田総司を呼ぶ餌にするだけよ」


その帰り道だ、総司に恨みが有るのだろう男達から囲まれたのは


「いいけどさーなんであたしなの?」

「この間聞いちまったんだよ、沖田の弱点をなぁ」

「あのドがつくSの人に弱点あるわけないじゃん
有るとしたら葱が嫌いなところだね」

「葱?!まぁ置いといてだな!
俺はこの間ある店で沖田本人が言っているのを耳にしたんだ!!」



「【僕の弱点?あーあれかな、かっこよくて毒舌で美人の女の子】って!!」


だからお前しかしねぇ!!と指を指されても困るわけで


「や、ちゃう。それあたしじゃない」


かっこよくて毒舌で美人。と聞けば青葉兄がポンと出てくる。絶対言ったら怒られるだろうけど

てか怒られるより、黒い微笑で倒される
そんな場面を想像してしまいヒィィィ心の中で叫びながら


「とりあえずー、違う!さよならー」


逃げるが勝!という様に走り去ろうと足を踏み出す、その瞬間―――……


「ぎゃぁぁぁぁあっ!!!?」

「ひぃ!なんなんだてめぇ!!!?」


悲鳴という名の声、殺気、そして刀が身を斬り裂く独特の嫌な音

瞬時に間合いを取り刀に手を掛け、視線を上げれば


「ようやく逢えたな、女よ」


白刃の刀から滴り落ちる血を器用に舐め取る金髪の男

背筋がゾクリと震える

【こちらの風間】は手加減というものを知らない。そう思った


「なんだ、俺が怖いか?」

「あぁ、怖いね。あんた手加減ってもの知らないでしょ」


本格的にヤバイ。斬り合いなんて面倒だしーと思い辺りを見るが

誰もいねぇぇぇ!!
何、あたしに刀を抜けと!?面倒臭いだけどぉぉぉ!!


「嘘をつくな、その目は怖いと言うよりも……」

『鬼を倒さんとする、桃太郎の目か?』


ザッと地を蹴る音と共に青葉兄があたしの目の前へと現れる


『嫌な予感的中』

「色んな意味でサーセン」


あははははーと笑う和泉。
よくこんな状況でヘラヘラと出きると呆れてしまう

しかし、この間合いの取り方
流石、伊達に組長を名乗ってねぇな。


「用があるのは貴様ではない、そこの女だ。退け」

『生憎、また逢えた妹を見捨てるほど腐ってないんでね』


ここは退けねぇな。と構える青葉兄をあたしは首を振り静止させる


「いい、あたしがやる」

『やるってお前!』

「いいから下がってて、風間はあたしに用事が有るらしいしー」


前に出ていた青葉兄よりも少し前へ立てば風間は金色の目を細める


「やはり肝は据わっているようだな」

「へいへい。んで、何?あたしの中に鬼の血が入っているって感じ取った訳ー?」


率直に聞けば風間は一瞬目を見開くが、すぐにいつもの表情へと戻る


『和泉!!』

「ん?大丈夫だってー
青葉兄の格好良い姿も見たいけどさー
たまにはあたしにも格好つけさせてよー」


ニィっと人を嘲るかのように和泉が笑った瞬間その姿も消え、刀と刀のぶつかる音が響く


「HAッ!流石だねぇ【こっち】の風間はいつも手加減してくんだけど」

「ふん、手加減など無用だ。
女とて鬼の敵となろうという者ならばどんな手段を使っても、な!!」



風間は気付いていたのであろうか



さっきまであたしに向けられていた剣先は、あたしの横をかすめ、青葉兄へと向っていて……


「青葉兄ッ!!」

『ッチ!!』


速いっ!間に合わねぇ!!
……そう思った時だった




―――目の前にあった筈の漆黒が、白銀へと変わり

紅い、桜花が舞う――…そんな場所へ来た感覚に陥る……





しかし、カキィィィンと金属音が鳴り響く音が現実へと引き戻してくれる


「青葉兄を狙うなんて、いい度胸してんじゃねぇの」

「前逢った時もそいつを守ろうと殺気を飛ばしていたからな」

『和泉ッ!!』


黒く長い髪が白銀へと、そして俺も押される凄みのある殺気


「当たり前、【こちらの歳三さん】の大切な人だからね」


歳三さんの大切な人なら、何処の世界でもどんな人でも護る。


「そうしないと、後悔して魂が折れちゃうんでね」


つーことでさっさと消えろ。そう言い放ち風間に刀を突きつける


「貴様、鬼の力を無駄遣いするのか?」

「無駄遣い?あのねー青葉兄の世界では鬼が最強なわけじゃねぇよー
あたし的最強は、婆沙羅技使う人!特にLet's Party!!って叫んでる人!あとその妹!!」

『俺じゃねぇか!?』

「Yes!!」


筆頭と青葉兄は最強!と笑う和泉に再び呆れる


「それに無駄遣いした事なんて一度も無いよ、鬼の力は誰かを護る為にしか使わないから。
人を護ってこそ、自分も護れるってもんよ」

「なら貴様はその女の為に力を使うと?」

「今はね、あたしはこの世界の住人じゃない。
この世界で青葉兄を護るのはとし…土方さん

あたしが自分の世界で護るのは」




「俺だろ?」




なぁ、和泉。と背後から聞いた事のある声がして振り向けば……


『トシ!!ってなんっか、違ぇな…』


髪が短い、着物は着流し
いつも見ているトシと雰囲気も違う
って事は……。と結論がすぐつく俺は何なんだろうか…


「久しぶりだな青葉。
……お前の格好からしてこっちはあんまり時間が経ってねぇのか」

『…和泉の世界では、俺とトシが行った後何年も経ってるって事か?』

「そういうこった、ほら和泉帰るぞ
腹減ってやばいっての」

「この状況で言う!?」


言う。と即答し風間と和泉の間に入る【あちらのトシ】


「貴様……何か違うな」

「……和泉、お前何処でも風間に追いかけられてんのか」

「知らんです、そして下がっててくださいよ歳三さん!!」



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