――それから、数日後



「いぃずぅみぃー!!待ちやがれぇぇ!!」

「キャハハっ!!やだよ〜だっ!!」




土方家の中から怒声と、笑声が響く

これに洗濯の手伝いをしていた紫苑は、手を止めた



『……また、か』



土方家に二人が居候し始めて、数日

歳三と同じ位の紫苑と、可愛い盛りの和泉は瞬く間に馴染んでいった


何故ならば、土方家はどちらかと言うと男子比率が高い為である

特に歳三の姉・おノブは、目に入れても痛くない程の可愛がり様



『和泉…馴染んだのは良いが、悪戯は止めてくれないかな…』



深い溜息を漏らしながら、紫苑は再び洗濯に手を伸ばす


そう

最近の彼女の悩みは、和泉が悪戯をする事

しかも歳三限定


おノブ曰く
【小さい子は、あれ位元気じゃないとねぇ】

だそうだが…居候の身なのに、それで良いのか?

と思う紫苑であった



「……逃げられた……」

『……お疲れさん』



暫くすると歳三が戻って来た、どうやら和泉に逃げられた様だ

苦笑いしながら紫苑は、彼に茶を手渡す



「すまねぇ……つぅか、どうにかなんねぇか?」

『なってたら今頃しとるわ』

「だよな…」



茶を啜りながら、歳三は頭を垂れる

それに彼女は苦笑いしか出来ない



「しかし…何で俺だけなんだ?」

『好かれてるからだろ』

「はぁ?」



紫苑の言葉に、歳三は眉間に皺を寄せる

小さく笑みを浮かべながら、彼女は続けた



『和泉は兄弟がいないんだと。だから、歳三を兄貴として慕ってる…何時私達は戻るか分からんからな、側に居たいんだろ』



和泉は歳三を実の兄、と慕っていた

だが何時、元の世界に戻るか分からない


だからこそ、限られた時間を彼と一緒に居たい

それが和泉の悪戯の理由



「……不器用な奴」



悪戯の理由を知った歳三は、頬を染めて目を逸らす

だがその表情は、満更ではない様



『(充分、お前さんも不器用だよ…)』



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