――土方家



「…まさか、ノブ姉まで信じるとはな…」

「まだ言ってるのか、トシ?」



土方家に着いた四人は、歳三の姉・おノブに事の次第を説明


すると彼女は多少驚いたものの、紫苑と和泉をすんなり受け入れ

二人の着替えを早急に、しかも嬉々と用意してくれた


これに勝太は喜び、歳三は複雑な心境



「にぃちゃんっ!!!」

「ぐぉっ!?」



女子二人の着替えを縁側で待っていた勝太と歳三

だが軽快で元気な声と共に、鈍い音が響く



『和泉!走るな!…あぁ、被害者が…』



すると背後から紫苑の声音が通る

どうやら着替え終わった和泉が、歳三の背中に抱き着いた様だ


歳三は眉間に皺を寄せながら、背後を振り向く



「……和泉……」

「にぃちゃん!和泉きもの、はじめて!」



嬉々とした和泉の表情を見て、歳三は目を瞬かせる

するとゆっくりと縁側に歩んできた、紫苑が口を開く



『本当みたいよ。着付けん時もはしゃいでまぁ…大変だったんだから』

「………ご苦労さん」



苦笑いを浮かべる彼女に、男子二人は表情を引き攣らせる



「これから二人共、どうするんだい?」



気を取り直し、勝太が口を開いた


別世界から来てしまった二人にとって、これからどうするかは重大問題である

だが紫苑はその問いに、さらりと返す



『ああ、それ?おノブさんが帰れるまで居て良いと』

「はあぁぁ!?冗談じゃねぇぞっ!?」



彼女の言葉に、歳三は驚愕

すると紫苑は、そっと和泉に耳打ちをした



「にぃちゃん…和泉、いっしょにいちゃ、ダメ?」

「ゔっ゙…」



目を潤ませ、歳三の着物の裾を握りしめながら、和泉は彼を見上げる

それには流石の歳三も、息を飲む


だがそれは、紫苑が歳三の反応を見越しての事

実際二人の後ろで、彼女は勝太と共に笑いを堪えている



「わ、わかったよっ!!」

「わぁ〜い!おねぇちゃんの言うとおりだ!」

「んだとぉ!!!」

『…和泉、言ったら駄目だろ…』




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