紫苑と歳三は、合流した勝太に今までの事を簡易に説明した

すると勝太は途端に、瞳を潤ませる


それについ、二人は後ずさってしまう



「そうか、そうか!二人共大変だったんだなっ!!」

「うん?」



そんな勝太に和泉は首を傾げながら、返事を返す

因みに残りの二人は、と言うと…



「『(冗談だろ!?信じやがったー!!)」』



勝太の純粋さに、二人は内心激しく突っ込む


それもその筈

【別の世界からやって来た】

と言う突拍子な話を、簡易に鵜呑みにするなど…


余程のお人よしか、器の大きい者であろう



『(かなりのお人よし、か…珍しい)』



深い溜息を漏らしながら、紫苑は内心呟く

ふと彼女は隣の歳三を見やると、呆れ返った表情を浮かべていた



『(…あぁ何時も、なのか。コイツ苦労してんなぁ)』

「そうだ、トシ!おノブさんに相談してみよう!」

「はぁ!?何でノブ姉に!?」



先程から二人の会話に出てる【おノブ】と言う方は、歳三の姉君らしい

だが歳三本人は、何故だか渋い表情だ



「おノブさんだったら、二人に着替えを用意してくれる」

「確かに…二人の服装は目立つな」



二人の会話に、紫苑は微かに目を細める



『(目立つ?和泉なら分からなくないが…私の恰好は…………)』



自身の着物を軽く見回した彼女は、何かに気付く



『(そりゃ目立つわな…此処ら一帯で絹の着物は)』


絹は高価な物、基本百姓が手を出せる代物ではない

しかも仕立てが、これまた見事なもの


そんな高価で上等な着物を着て、目立たない訳がない



「トシ…ならば二人を、このままにしておくつもりか?」

「っ!」

「これも何かの縁だ、な?」



穏やかに笑み、勝太は歳三の肩を叩く

性格は真逆、なれど二人の間には固い絆がある様だ


そして紫苑と和泉は、歳三と勝太に導かれ

和やかな道を歩み始めた



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