鈴々姉は目を細め、複雑そうな笑みを浮かべる

その瞳は、何処か懐かしげな色が秘められてた



「覚えて、ない?どゆ事?」

『…Ah-.和泉、お前…餓鬼の頃の記憶ってあるか?」



珍しく鈴々姉は口ごもりながら、再度私に問いかける

何でまた小さい頃?



「小さい頃?あんまり覚えてないなぁ…あ、でも…」

『でも?』

「小さい頃、神隠しにあったって聞いたなぁ。っても私は覚えてないけどねー」



あははーと笑うと、鈴々姉はそうかと軽く返す

あ、でも…



「確かに覚えてないんだけどさ、唯一覚えてるのがあるんだー」

『What?』



微かな記憶の中に、朧気に覚えているモノがある

それは今でも忘れてない



「大きくて優しくて、頼れる背中と

淋しさと強さが混ざった、綺麗なアルビノの瞳」



それが神隠しにあった時の、唯一の記憶

それ以外は不思議な事に、何故か全く覚えてないんだよねー

…何か大切な事を、忘れてる様な気がしてならないけど


そんな事を考えたら、鈴々姉が目を見開いて固まってた

え?何かマズイ事言ったぁぁ!?


すると鈴々姉は柔らかな笑みを浮かべ、私の頭を撫でながら、口を開く



大丈夫、きっとまた会える

「えっ?」



その言葉を聞いた瞬間、走馬灯の様に記憶が脳裏に駆け巡った



―…穏やかな農村に佇む、幼い私

―…当時は珍しい、アルビノの瞳を持った凛々しい女性(ひと)が私の隣に

―…その彼女の隣には、少し目付きの悪い見覚えのある好青年

―…そのまた隣には、見るからに人が良さそうな青年の姿が



…あれぇ?ちょっと待って…これって…



「え、え、えぇぇぇっ!!??」


『…漸く、か』



嘘ぉぉっ!?

これって鈴々姉と、鈴々姉側の土方さんと近藤さんだよね!?
私、三人に会ってたのぉっ!?


記憶が戻って、プチパニックになってた私は

土方さんが来た事に気付かなかった



「何の騒ぎだ?」



どうやら私の叫び声が響いていた様で、土方さんは仏頂面で室内の鈴々姉に問いかける

その問いかけに、鈴々姉は溜め息混じりで答えた



『…あぁ…和泉が【あん時】の事を思い出しただけ』

「何だ、あいつ覚えてなかったのか?」




back mae tugi



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -