不意に歌声が止まる
『千鶴、お千。居るんだろう、出てきな?』
気配を察知したのだろう
青葉は物影に、声をかけた
対する二人は気まずい表情を浮かべながら、物影から出てきた
『…何で隠れてんだ?』
「だって…」
「兄様…綺麗だったんだもん…」
ズコッと鈍い音が響く
桜の木に寄り掛かっていた青葉が、すっころげた音だ
『……綺麗、って……』
口元を引き攣らせながら、青葉は体制を直す
「兄様、もう一度聞きたいです!」
『何?』
「私も兄さんの歌を聞きたい!」
期待で目を輝かせる二人
そんな二人に、青葉が折れた
『…I see.…分かったよ…』
「「やったぁ!」」
互いに手を叩いて、破顔する千鶴とお千
『(トシに千鶴に甘いったが…俺も人の事は言えないな…)』
内心呆れる様に溜息をつく青葉
青葉が千鶴に甘いのは、今に始まった事ではないのだが…
mae tugi
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