近藤の号令が放たれて、土方と青葉は組み合う
だが二人は微動だにせず、睨み合っていた
「…あの、どうして二人は動かないんですか?」
「…動かないじゃない…動けない…」
疑問を口にした千鶴に答えたのは、無口な小太郎だった
「うん、風魔の言う通り。あそこが二人の間合いぎりぎりなんだよ…」
「…一瞬でつく…か?」
「…分からないなぁ、こればっかは」
緊張感が漂う中、言葉を紡ぐのは佐助と小太郎のみ
皆は二人の試合に魅入っていた
微かに青葉の足が動く
「「《……動くっ!》」」
佐助と小太郎が、同時にそう思った瞬間
鈍い音と共に、土方と青葉は刀を交えていた
早い切り替えしで、青葉は下段から土方に斬りかかる
土方はそれを上段から防ぐ
その余りの攻防に、皆は言葉を失う
周囲を余所に青葉は土方の剣を流していく
青葉は元々素早さが取り柄
力勝負では土方に比があると踏んだのだろう
真っ向からの、競り合いを避けつつ
その速さを生かし、土方へ何度も打ち込んでいく
mae tugi
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