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『うわ、日ぃ暮れてんじゃんか』



ある日の夕暮れ

土方と青葉は、夕暮れの京の町並みを歩いていた



「長引いちまったからな」

『確かに…』



幕府のお偉い方との会合が、開かれる事となり

新選組を代表して、二人が出席したのだ


ただ出席した時間が昼前、会合にはかなりの時間を要した



『…なんか、さ』

「…ん?」



夕日を見ながら、青葉はポツリと呟いた



『……血の色みたいだ』

「……あぁ……」



真っ赤に染まる日を、複雑な表情で見つめる二人



『っ!』



不意に青葉の表情が強張る



「…どうした?」



彼女の表情はまるで、有り得ないものを見た、という位に驚いていて

微かに震えている彼女の手は、土方の長着を掴んだ



「…青葉?」

『…ト、トシ…』



土方を見上げる青葉の瞳が、珍しく不安げに揺れていた



「…一体何が…」

『…空気が…』



その後続く、彼女の言葉は土方に衝撃を与えた



『…戦国の空気を…感じる』

「…お前が生きてた、か?」

『……うん……』



土方の長着の裾を強く握る青葉、彼女の手を離すまいと彼は重ねる様に手を握った


刹那


紅蓮の夕日がゆっくりと歪み、空間が裂け始めた

空間の奥から突風が吹き荒れ、二人を包み込む


暫くすると空間の歪みが消え――




同時に二人の姿も消えた――



mae tugi





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