そんな幹部達と千鶴の心配を余所に、土方の調理訓練は続いた
『芋類は水から茹でる』
「湯からじゃ駄目なのか?」
『煮えすぎて片崩れするから駄目、下ごしらえで湯通しするなら別』
「鈴々音、ほうれん草茹でんぞ?」
『ほうれん草はお湯から』
「水からじゃねぇの?」
『ほうれん草とかの葉ものや青ものは、お湯から。水から入れると火が通り過ぎて、歯ごたえなくなる。
お湯に少し塩入れてさっと茹でると、色よく茹で上がるよ』
「…だし?」
『だし汁は昆布と削り節からと、煮干しからとる二種類ある。今回は昆布と削り節』
「何してんだ?」
『面取り。野菜の角をこうやって事前に切り落とすと、煮崩れしないんだよ』
「へぇ…」
『……トシ、今何やった?』
「あ?」
『調味料は計れ!目分量なんざすんなっ!』
「わ、悪りぃ……」
『……味噌は煮立てんな』
「駄目なのか?」
『風味が飛ぶから駄目、やり直し』
「げっ!?」
mae tugi
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