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今回のドラマのヒロインは、Wヒロイン設定


一人は雪村 千鶴演じる普通の女子

だがもう一人のヒロインが問題だった


もう一人のヒロインの設定が
【男装する女子。尚且つ外見が男の様に美形で、振る舞いまで男】

という無茶苦茶な設定


これにはこのヒロインが、幹部達と共に戦う設定がある為だ

幹部達の側にいる、という事は日常の彼等を垣間見ると言う事


ディレクターはこのヒロイン捜しにかなり力を入れたらしいが…



「殺陣が出来るのが最低条件だから…」



…見つかるはずがない



「…一人、心当たりが…」



ポツリと呟いた歳三に、ディレクターの目がキラリと輝く



「え、誰っ!?」

「…いましたっけ?」

「…本人は多分乗り気にはならねぇと思いますが、ね」



そう言うと歳三は部屋を後にした



***



数分後

歳三はマネージャーの鈴々音を連れてきた



「ディレクター、こいつ」

「…土方君、確か彼女は…」

「うちのマネージャー」



呆然とする一同



『…ちょい待てぃ。私は参加するとは一言も言ってねぇ』



青筋を立てて鈴々音は、怒りを現す



「お前なら殺陣、出来んだろ?」

『違げぇ。私が言ってんのはマネなのに、何でドラマに出ねぇといけねぇんだって事だよ』


「…社長の許可なら取ったぜ?」

『はぁ!?』



二人のやり取りを見てたディレクターは、不意に鈴々音の手を取る



『な、何でしょう?(…嫌な予感…)』

「……助けて下さい」



彼の言葉に鈴々音は、表情を歪ませた



「貴方がヒロイン像にピッタリなんです!その嘆嘩を切る雰囲気、言葉使い、全てが!」

『…何か、微妙な気分』



褒められたのか、貶されたのか



「お願いしますっ!」



ディレクターの懇願に、鈴々音は渋々ながら折れた



『…条件さえ飲んで頂ければ』



その条件とは


・基本はマネージャー業を営む

・名前は出さず

・取材なども一切不参加

・参加している事を内密にする

というもの



かなり無茶苦茶な内容…なのだが、ディレクターは了承した



そして出来上がったドラマは、【新選組異聞 薄桜鬼】

史実を取り入れ、尚且つ斬新なドラマ内容

更に新選組幹部に、【White wolf】の使用


ヒロインに新人で売れ込み中の、雪村 千鶴

そしてもう一人の、素性を明かさないが実力は確かな女優


これに視聴率が上がらない訳がない


瞬く間にドラマは大人気となり。ワンクール予定だったドラマが、視聴者の熱い要望もあり

続編と映画化が決定した



『……』



これに不満を漏らしたのは【White wolf】マネの鈴々音である



『…トシ、仕組んだね?』



続編のドラマの台本片手に、鈴々音は半目で歳三を睨む



「…さぁな」



不適な笑みを浮かべる歳三に、彼女は溜息をつく



その後

【White wolf】の活躍は目覚ましく


彼等のマネージャーが、女優デビューを果たしたと言う話は――


暫く後の事



Jump! 完




mae tugi





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