それに土方は呆れる様に口を開いた
「平助、唯は女の子だ…」
「えっ?」
『赤子だからな、しゃあねぇよ。千鶴、唯貸してくれ。飯やらな』
「はい」
千鶴から唯を受け取った青葉は、慣れた手つきで重湯をあげる
「そういや、唯の素性調べてんだろ?」
土方は思い出した様に、呟いた
『あぁ…よし、後はゲップだけか。トシ、やれ』
「俺かよ!」
『ちったぁ慣れやがれ』
「ちっ!」
渋々青葉から唯を受け取った土方は、不慣れな手つきでゲップさせた
「「何か親子みたい…」」
「『親子言うな!」』
時間が流れて、夜
『トシ、唯を風呂に入れてやってよ』
「は?どうやって?」
とりあえず唯を風呂に入れるべく、二人は湯殿へ
青葉は、まずたらいにお湯を張る
『まず左腕に乗せて入れる。頭の後ろから中指、親指で耳を塞ぐんだ。手ぬぐいで優しく撫でるように洗う。浮力が働くから簡単だ』
「……ってもな……」
恐る恐る青葉の言われた通りに、土方は唯をお湯へと入れ始めた
『……喜んでんじゃん、唯』
「………だな」
そこへ軽快な足音が響く
「鈴々音姉、唯の替えの服乾いたー」
『あいよ』
平助から唯の着ぐるみを受け取ると、唯を手慣れた手つきで拭き取って手早く着せた
****
唯を寝かすのは青葉の部屋
『…よしよし…』
「……また、か」
襖を静かに開けて、寝ぼけた土方が入ってきた
『…悪いな、起こして』
「別に構わんが…」
『しかし…夜泣きすげぇな…』
「…大丈夫か、お前?」
『…大丈夫だろ、多分…』
そんな事を繰り返してた、ある日
『………マジ?』
「………主、それ、本当…」
小太郎から知らされた、唯の出生に、青葉は仰天
『…迎え、来るかね…』
つい青葉溜息を漏らす
書類上には唯の両親…武士と商人の娘が駆け落ちした…という報告が記されていた
*****
それからまた数日が経過
「唯っ!」
唯の両親が無事に屯所へと、迎えに来た
何度も何度も幹部達へ頭を下げると、両親は唯を連れて屯所を後にした
「しかし…武士の息子と商人の一人娘が駆け落ち、ねぇ」
自室で書類を片付けながら、土方は呟く
『双方のご両親を説得する為にやむなく…ね…』
「…一言かけりゃ良いものを…」
『……確かにな…』
「「土方さーん!」」
襖越しに平助と千鶴の声が響く
「『あ?』」
首を捻る二人だが、とりあえず平助と千鶴を中に入れた
『どした、二人共』
「……あの、ね……」
口ごもる二人に、土方も青葉も首を傾げるばかり
「「…赤ちゃん欲しいっ!」」
突拍子な台詞に土方と青葉は、見事にすっころげた
「『はぁ!?』」
どうやら二人は、唯がいなくなって寂しくなった模様
「二人ならって、左之さんや新八っつあんがさ」
「『…新八ー!左之ー!」』
それから暫く土方と鈴々音1は、平助と千鶴にごねられたとさ♪
Child Panic! 完
mae tugi
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