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―…新選組幹部、緊急召集

早朝にかかった急な召集に、隊士達は何事かと、不安げ


広間には召集を受けた、幹部が勢揃い

……その理由とは……



「………どうすんだ、近藤さん?」

「うぅむ……」



幹部達の表情は皆、どこか芳しくない



「ふぎゃあ!ふぎゃあ!」

「頼むから泣き止んでくれよ〜」

『…一体何の騒ぎだ?』



幹部緊急召集を受け、少し遅れたが青葉も広間に顔を出す



「青葉!助けてくれっ!」

『はぁ?』



いきなり助けを乞う新八、彼の腕の中には…



『…何で屯所に赤ん坊がいんのさ?



***



事の始まりは今朝方


屯所前付近に鳴き声が聞こえたのを、一人の隊士が気付いた

鳴き声に誘われて、屯所前に来てみれば…門前には、赤ん坊の姿



「………と言う訳だ」

『…………』



事の経緯を土方から聞き、青葉は呆然

一方、赤ん坊は今だ泣き止まず



『………お前ら、貸せ』



泣き止まない赤ん坊を必死にあやす幹部達に、青葉は溜息を漏らす


彼らから泣き止まない赤ん坊を預かった青葉は、肩口に赤ちゃんの顔がくる様に抱いて、左手はお尻を支える様に回し

優しく、優しく赤ん坊の背中をポンポンとあやす



『大丈夫だよ』



彼女の声色が優しいものだったからか、またはそのなだめ方からか

泣きじゃくっていた赤ん坊は、次第に泣き止んでいく



「…すげっ…」



目を見開いて感嘆を呟く幹部一同に、青葉は呆れる様に言葉を投げ付けた



『……荒っぽいんだよ、お前ら』



泣き止んで、笑顔を見せる赤ん坊を青葉は抱き直す

左腕上腕部に頭を乗せるようにして抱き、右手は左肘辺りに上向きでそえる様にした



『…ホントにこの子、どうすんの?』



青葉の問い掛けに、幹部達は黙り込む

無言で土方が一通の手紙を、彼女に見せる



『…【必ず迎えに来ます、暫く預かってて下さい】だぁ?新選組は何でも屋じゃねぇぞ?』



赤ん坊と共にあった手紙の内容に、青葉は素っ頓狂な声を上げた



「…迎えに来るとなると、なぁ…」



腕を組みながら近藤は、渋い表情を浮かべる

それは幹部達も皆同じで



『(…素材、良いな…親は良家か)』



赤ん坊の着ぐるみを触り心地で、青葉は何となく察知

不意に悩んでいた近藤が立ち上がった



決めたぞ!この子は新選組が預かるっ!!

「……………はぁ!?」

『…近藤さん、預かるっても育児の知恵持ってねぇじゃんか…』



彼の発言に驚いて、声を揃える幹部一同

青葉は呆れた様に突っ込む



「…しかし、赤子を放置する訳には…」

「ふぎやぁ、ふぎやあ!」

「な、何だっ!?」



いきなり赤ん坊が泣き出し、幹部一同は慌てるが青葉は平然



『………腹が減ったんだろ』



「…何食わすんた?」

『歯が生えてない所見ると、生まれて大体半年ってとこだね。本当は母乳が良いんだが…』

「んじゃ鈴々音姉、飲ませれば?」



平助の何気無い言葉に、青葉は半目で睨む




mae tugi





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