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CDを出せば、発売日当日にヒットチャートトップ

全国講演を開けば、チケットは即完売。関係商品は右肩上がりで売れ筋トップ

公式ファンサイト会員数は万を軽く超え、三人に一人は会員という歴代でも最多のファンを抱え

社会現象をも起こした、6人組の大人気アイドルグループ

彼らの名は―――



【White wolf】
―白き狼―



そんな彼らが所属する事務所、『ウエスト エレメント』は数多の芸能人を排出する大手プロダクション

社長・近藤勇が一代で築き上げた



『…で?』

「「やだっ!」」

『…いい加減にしな!この問題児二人っ!』



ロングで漆黒の髪を一つに束ね、シンプルなスーツに身を包む女性

【White wolf】マネージャー
伊達 鈴々音


敏腕で【White wolf】をここまで大きくした、陰の立役者

…口が悪いのが、たまに傷だが…



「だってそのドラマ、僕活躍出来ないじゃない」


口を尖らす青年

【White wolf】メンバー 沖田 総司


その甘いルックスとは裏腹に、ドSでツンデレなキャラがお姉様や一部女性に大人気



「てかさー。そのドラマの内容、暗いんでしょ?そういうの、俺嫌いだな」



総司と同じく、不機嫌な小柄な少年

【White wolf】メンバー 藤堂 平助


メンバー最年少で、天真爛漫が良く似合う少年
その素直さが年齢問わず、お茶の間に大人気


二人が共通して話す《ドラマ》

実は【White wolf】全メンバーにオファーが掛かった、大仕事


内容は…幕末の新選組


幕末の動乱を生き抜いた新選組の幹部に、彼等が抜擢されたのだが…

…この通り…



「二人共、いい加減にしろって。鈴々音を困らせてどうすんだよ?」



赤髪をなびかせた、長身の青年が二人を窘める

【White wolf】メンバー 原田 左之助


そのアダルトなルックスと切符の良さに、主にお姉様方に大人気



「…不満を言っても無駄だ、既に決定事項だ」



淡々と述べる、一見寡黙そうな青年

【White wolf】メンバー 斎藤 一


寡黙で真面目だが、反面天然と言うギャップに、年齢問わずに大人気



「…いい加減にしやがれっ!」




勘忍袋の尾が切れ、二人に怒鳴る美男子

【White wolf】リーダー 土方 歳三


その外見もさる事ながら、演技力もトップクラス
数々のドラマや映画に出演してる、実力派俳優でもある
彼の魅力に落とされた奥様達は、数知れず



『…落ち着いて、トシ。とにかく、反論は聞かないから。左之が言った様に決定事項だからね?』

「「ぶー」」

『はぁ…』



きっぱりと言い切った鈴々音だが、二人の不満な声に溜息を漏らす



「そういや、ヒロイン決まったのか?」



左之助が思い付いた様に問う



『さっき連絡あったよ。決まったって』

「んで、結局誰になったんだ?ディレクター、ギリギリまで粘って選考してたろ?」



歳三の台詞に、鈴々音は頷く


今回のドラマのディレクター、実はヒロイン選考に躓いていた


初顔合わせを数日後に控えた今日、漸く決まったと連絡が入ったのだ



「で、誰?」

『えーとね…新人の雪村 千鶴ちゃんて子。平助とタメだってさ』

「…随分とまぁ…」



全員が《冒険》と言う言葉を飲み込んだ



『…』

「…どうした?」



急に沈黙した鈴々音に、歳三は首を傾げる



『や、何でもない…』



■■■■■



でもって、初顔合わせ当日



「……マジですか、ディレクター?」

「………ごめん」



部屋に集まったスタッフ一同に、ディレクターは急に土下座した


ディレクター曰く。肝心のもう一人のヒロインが見つからなかったらしい



「…中々当てはまる子がいなくてね…」



まるでキノコを栽培するかの様に、部屋の隅でいじけるディレクター




mae tugi





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