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『……疲れたぁ』



土方の自室に入るなり、青葉はへたれ込む



「おいおい、着替えろよ」

『……無理……』



呆れを含んだ土方の台詞に、青葉は即答で返す


実は彼女、今まで角屋に情報収集として潜入していた

監察方で角屋潜入の仕事は、専ら女性の青葉担当なのだ


流石に彼女の仕事量が多いので泊まり込みは出来ず、酌をしたり三味線を弾いたりして情報を入手する



『うー、さて。報告…』



よろよろと立ち上がる青葉、その反動で綺麗に結い上げてた髪が僅かに解けた



『……やっぱり読み当たってたね』



土方の向かいに座り直した青葉は、溜息混じりで呟く



「…ちっ!」

『…とりあえず連中の背後関係は、小太郎に今探らせてるから』


舌打ちした土方に、青葉は肩を鳴らせながら続けた



「…分かった、毎回すまねえな…」



申し訳ない様に表情を歪ませる土方に、青葉は苦笑を漏らす



『別に構やしないって、いつも言ってるのに…』



当の本人はこう言っているが、土方の内心はそうではない


青葉は見かけ思いきり男で、女性なのに中身も漢(おとこ)地味てる

だが着飾れば、誰もが振り向く様な美女に変貌


彼女自身がそれを自覚してないので、土方は気が気でなかった



「土方さーん、ちょっと良いですか?」



そこへ庄子を隔てて、総司の声が響く



「総司っ!?ち、ちょっと待てっ!」



慌てて土方は総司に返事を返し、青葉を隣の自室へと追いやる…が



「近藤さんが呼んで……」



彼に待て、と言っても無駄だった様で、総司は土方の自室へ足を踏み入れた

案の定、女性姿の青葉に総司は固まる



「……誰ですか?」



搾り出す様に出した総司、目が笑ってなかった



「…だから着替えろったろ」



深い溜息を漏らす土方に、青葉は苦笑いを漏らす



『悪りぃ、トシ……』

「………え、青葉?」



声色で青葉と気付いた総司は、目を見開いて彼女を凝視してしまう

それほど、別人の様な外見なのだ



『角屋に潜入捜査したんだよ』

「ふぅーん」



総司に簡単に説明した青葉だが、当の本人は何かを企む様な笑みを浮かべる



『「………何だ?』」



そんな総司に、土方と青葉は嫌な予感を感じてならない

現に二人共、表情が引き攣っていた



「…土方さんだけ狡いなぁ…青葉のこーんな綺麗な恰好知ってるなんて、皆にも知らせないとね♪」



そう言うと総司は軽快な足取りで、土方の部屋を後にした



『「………」』



二人は、暫く固まって呆然するしか出来なかった




mae tugi





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