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暫く神社を回ってみたものの、しおりの両親らしき人物は見つからず

しおりは落胆を見せる



『しおりちゃん、お腹空いてない?』

「…すいてな…」



空いてない、と言う前にグウと腹の虫が鳴った


それにしおりは赤面し、土方は吹き出してしまう



「何遠慮してんだ。チビはチビらしく、たんと食えよ」

「しおりはチビじゃないもん!」

『あー、はいはい。腹ごしらえしようか…何食べようか…』



周りを見た彼女が目にしたのは、大判焼きの垂巻く



『大判焼き、食べたい?』

「しおり、おおばんやき、すゅきー!」

「決まりだな」



土方と青葉はしおりの手を引いて、屋台へと向かった



「へい、らっしゃい!」

「おやじ、大判焼き…幾つだ?」

『幾つ食べたい?』

「ふたつ!」



しおりは元気よく、指を二本立てる



『トシは?』

「三つか四つぐれぇか?」

『じゃ大判焼き七つ下さい』

「あいよ、毎度!」



手際良く大判焼きを焼いていく主人

それにしおりは目を輝かせながら、土方の浴衣の裾を引く



「…どうした?」

「しおり、みたい!」

「……分かったよ」



キラキラと希望に満ちた彼女の瞳に、流石の土方も負け

土方はしおりを抱き上げ、作業工程を見せてやった



「すごぃー!」

「しおり、触るんじゃねぇぞ」

「あい!」



二人のやり取りは、もはや親子と見間違う程

そんなやり取りを見た主人は、豪快に笑って見せた



「わっはっは!嬢ちゃん、優しい父ちゃんじゃねぇか!」

「………は?」

「いやぁ…長年やってるが、あんたらみたいに似合いの夫婦は初めてだよ!」



どうやら主人は、三人を親子と勘違いした模様



『いや、あの…』

「良いもの見せて貰った礼に、少し数をオマケしといたぜ!代金はいらねぇぜ!」

『…はぁ…』



主人のきっぷの良さに、二人はア然





そんな二人はまだ気付いていない

背後に陰がある事を



mae tugi





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