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『………説明求む』

「………見たまんま、じゃねぇか」



青葉は今の現状に思考が追い付かない様で

隣の黒い浴衣に身を包む、土方に問い掛けた



二人が今居るのは、小さな神社

そして眼前に広がるのは、こじんまりとした屋台の数々



「お前仕事ばっかで、殆ど屯所から出てなかっただろうが」

『…いや、そうだけど…』

「…たまには息抜きしたっても良いだろ…」



そう言うと、土方は視線を逸らす



彼が青葉を此処に連れて来たのは、彼女を休ませる為だった

連日仕事に明け暮れ、市内に出掛けてもそれは買い出しに過ぎず


それはあんまりだろう?、と近藤が呟いたのがきっかけだ


青葉に息抜きを



それを近藤から託された土方は、彼女を近所で開かれる小さな祭に連れ出したのだった



『…いや、良いけど…何で浴衣?しかも女物…』

「…お前な…少しは女という自覚を持てよ…」



青葉の呟きに、土方は呆れる様に溜息を漏らす


彼女の悪い癖、と言うべきか

女性の自覚のなさ過ぎに、彼は心底呆れ返った



『男物着てりゃ、こんなに視線浴びなくて済んだのによ…』

「(…絶対違ぇ…そもそもこの視線は野郎共が、お前に見惚れてんだっうの…)」



正確には土方は女性から、青葉は男性から

突き刺す様な視線を浴びていた


…それもその筈

土方は黙っていれば美男子

青葉は今着飾り、見違える程の美人


そんな美男美女が並んでいるのに、視線が来ない訳がない



「…しかし、懐かしいな…」



カランと下駄を鳴らしながら、土方は目を細めて呟く

その瞳は、穏やかなもので



『…懐かしい?』




mae tugi





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