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その問いに、彼女は身体を小さく震えさせた

そして土方の長着を掴み、青葉は呟く



『………化け物って……』

「っ!」



それは彼女にとって、古傷をえぐる言葉


青葉は幼少時、左目の事で一部の伊達の人間から迫害を受けてた

殴る、蹴るは勿論の事、罵声も日常茶飯事という有り得ない日常


その一部の伊達の人間が、彼女を【化け物】と罵っていたのだ




今でこそ受け入れられ、迫害は無くなったものの

その言葉が、彼女の古傷になっているのは変わりない



「……阿呆、お前はそんなんじゃねーよ……」

『……ん……』



土方は壊れ物を扱う様に、優しく優しく青葉を抱きしめた



「(何で鈴々音ばっかり傷付かなきゃいけねーんだよ!)」



彼は彼女の過去全てを受け入れている

だからこそ彼女が傷付いてばかりなのを、内心で毒ついたのだ



『………トシ、も、大丈夫…』

「…本当、か?まだちっと顔色悪ぃぞ?」



ゆっくりと土方から離れる青葉だが、彼の指摘通り顔色が若干悪い

だが彼女は柔らかな笑みを讃え、口を開いた



『ん…トシが居てくれれば、だいじょーぶ…』

「おまっ………それ、反則じゃねぇか……」



青葉の言葉を聞いた土方は、口元を手で覆った

彼の耳は心なしか、赤く染まっていた



「か、帰るぞ!今佐助が皆や伊東を言いくるめてんだからな!」



口早に言うと土方は、青葉の腕を引っ張って行く

そんな彼に、笑みが零れる青葉



『(本当だよ、トシ…あの時…駆け付けてくれた時、どんなに嬉しかったか…。

トシが傍に居てくれるだけで…安心出来るんだよ)』



【姫様…゙魂の半身゙を
お見つけ下さい】




不意に彼女は、元付き人の言葉を思い出す



【魂の半身とは…身分や歳、全ての理を越えた真の伴侶。
魂の伴侶とも言います。

その半身を見つけなさって下さい】



『(…見つけたよ、綱…魂の半身)』



土方の背中を、青葉は愛おしむ様に見つめた



魂の半身 完



mae tugi





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