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遠くで鐘の音が響く



「亥の刻(22時)の鐘だ…」



廃寺に男の声がこだまする

ゆらりと、彼の瞳が青葉を貫く


その瞳は歪み、淀みきっていた



「……さぁ、その命……散らせ……」



金属音が響き、月明かりで鈍い光が反射する


冷たい輝きが廃寺に差し込む



「………最後に、言う言葉はあるか?」

『………最後?』

「………あぁ……」



カチャリと、青葉の首元に刀が宛がわれる

うっすらと首元から鮮血が流れた


不意に、青葉は笑みを浮かべる



「………何を笑う?」

竜はな、簡単に死なねーんだよ




そう、彼女が言った時だ―――

廃寺の扉が勢い良く開いた



「何っ!?」



男が振り向いた先には、紛れもない土方 歳三の姿が

その手には、既に刀を握っていた



「…土方…歳三!?」

『案外早かったな』



驚愕する男を余所に、青葉は相変わらず

それに駆け付けた土方は、表情を強張らせた



「てめぇな…こんな騒ぎ起こしてるっうのに…」

「来るなぁぁ!!」



男は青葉の首元に刀を当て、叫んだ



「っ!」

「動いてみろ!こいつを殺してやるっ!」



目を血走らせた男に、土方は動きを止める

すると土方は視線を感じた


その視線は捕われている青葉からで

彼女の瞳を見た土方は、微かに頷いた



「………やってみろよ」

「な、に……?」



彼の発言に、男は動揺を隠せない



「新選組の独眼竜はその程度じゃ、くたばらねぇよ」

『……コンニャロゥ』

「………ふははははっ!ならば、死ねぇ!」




mae tugi





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