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「………遅い」



土方は自室で、眉間に皺を寄せていた



と、言うのも

青葉が帰って来ていないのだ

既に日は沈み、夜の帳も降りたのにも関わらず、だ



彼女は外出する際、必ず用件と帰屯する予定の時刻を報告していく


だがその時刻は、とうに過ぎている



「…何か、あったのか?」



青葉は約束を違えない。それが例え、小さい事でもだ



「土方の旦那!」



そこへ一陣の風を纏って、一人の忍が舞い降りる


最近こちらの世界にやって来た、猿飛佐助だった

だが何時も飄々としている彼が、切羽詰まった表情を浮かべていた



「…どうしたんだ?お前が、んな慌てるなんて珍しい」

「俺様市中見回ってたら、こんなの見つけたんだ!」



彼の腕の中には、青葉の専門であろう薬草の数々

それを見た土方は目を見開いて、立ち上がった



「…これを、どこで見つけた…」

「市中の路地裏にバラけてた…」



すると廊下からドタバタと走る音が近付いて来た

佐助は直ぐに口布を付け、部屋の隅へと移動する



「トシっ!た、大変だっ!」



土方の自室に飛び込んで来たのは、局長の近藤

だが顔色が真っ青だ



「とにかく落ち着けよ、何があったんだ?」



慌てる近藤を宥める土方

だが彼の口から出た言葉は、土方にとって衝撃的なものだった



「青葉君が…掠われたっ!」




mae tugi





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