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医療隊隊長に就任した青葉は、自身の足で医療器具等を確保していた




その日も街中へ、薬剤材料を仕入れに繰り出し

目当ての材料を仕入れ、屯所へと帰路に着いていた



『(…これなら暫く大丈夫だな)』



質の良い材料を入手出来て、青葉の頬が緩む



「もし…」

『はい?』



そんな彼女に、路地裏から戸惑い気味な声色が掛かった

青葉が振り向くと、そこには男性の町人の姿があった



「少々道をお尋ねしたいのですが…」

『…あぁ、構わないが…』



ふと青葉は彼の足元を見やると、僅かに眉を潜めた



『……って行くんだが、大丈夫か?』

「はい、ご丁寧にありがとうございました」



男性の目的地まで青葉は、分かりやすく説明を施した

彼は柔らかく微笑むと、頭を下げた



『いや…地元じゃないと迷いやすいからな、京は。俺も最近まで良く迷っていたよ』

「そうなんですか」

『…なぁ…聞いて良いかい?』

「何でしょう、お侍様」



笑みを絶やさない男性に対し、青葉の表情は僅かに曇る



何で町人の振りをしている、あんた武士だろ?




彼女の言葉に男性は、ほんの僅かに身体を震えさせた



「はて、一体何の事で?」

『あんたの下駄の高さが違う、左だけ低いよな。
そいつは左に刀を差してるから出来る現象だ、現に俺もなってる。

…町人に成り済ましてまで、俺に近付いた理由は何だ?』



いつの間にか、青葉は彼に対して僅かに殺気立っていた

すると男性の柔らかな笑み表情が、次第に歪んだ笑みへと変わった



「流石…阿修羅だ…」

『貴様…ぐっ!?』



反論しようとした青葉だったが、次の瞬間に目を見開いた


そして、意識が遠退いて行った――


mae tugi





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