そんなこんなで日も落ちかけ
『……あ、れ?』
不意に青葉が周囲を見渡すも、誰もおらず
『……もしかして、はぐれた?』
夕飯の買い出しなどで、町中の人込みは急に増え
青葉は土方達とはぐれてしまった様だ
『…参ったな』
動く事が危険と察知した青葉は、その場からは動こうとしなかった
「姉ちゃん、一人かい?」
不意に彼女へ、柄の悪い男が声を掛ける
『いえ、連れがいますんで』
が、鈴々音は適当にあしらう
『(ウゼェ…)』
と内心、毒吐いてた
「えぇー、ええじゃんか♪俺と一緒に来ない?」
男は強引に青葉の腕を掴む
『っ!離せっ!』
「強気な姉ちゃんも、またそそるねぇ」
男が唇を舐めた時だ、青葉の腰を抱きしめる腕が伸びて来た
「…おい、人の女に手ぇ出してんじゃねぇよ」
『…トシ』
目を瞬かせて青葉は、土方を見上げる
「「母ちゃん!/母様!」」
後方からは平助と千鶴が、血相を変えて走って来た。その表情は今にも泣きそうで
「チッ、こぶ付きかよ…」
男はそう言うと、そそくさと逃げていった
『……ありがと』
ぽつりと呟いた青葉に、土方は苦笑を漏らす
「…平助と千鶴、宥めるの大変だったんだぜ?」
『……マジで済まん……』
土方と青葉に合流した平助と千鶴は、彼女とはぐれた事で不安だったのだろう
ぽろぽろと大粒の涙を溢し始めた
苦笑を漏らしながら鈴々音1は、必死に宥める
それから四人は君菊の角屋に向かい、それから屯所へと帰路に戻った
ある晴れた日の
穏やかな一幕
平穏な 完
mae tugi
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