「青葉はんなら、女将はんに手掛けて貰っとるはずどす」
「「…は?」」
すると襖が開き、不機嫌な表情を浮かべた、女子姿の青葉が現れた
『……また、やられた……』
***
君菊と女将の手腕により、女子姿で買い物する事になった青葉と千鶴
『…歩きづらい…』
「…お前、折角着物着てんだからよ…」
苦笑混じりに笑う土方に、青葉は溜息しか出ない
『…トシ、チビ共は?』
「ほれ、あれ」
チビ共=千鶴と平助
の公式の意味が分かった土方は、前方を指差す
二人は和菓子屋の店先で物色中
それを見た土方と青葉は互いに顔を見合わせて、溜息をついた
『こらっ!』
「うわっ!」
「きゃ!」
店先で物色していた二人に、青葉は背後から声をかける
「…お前ら、勝手に先に行くんじゃねぇよ」
その隣で土方が、溜息混じりにぼやく
「おやおや、随分とお若い親子達だね」
和菓子屋の老主が穏やかな笑みを浮かべながら、優しい声色で言った
「『…はい?」』
「あかんよ。お父はんとお母はん、困らせたら?」
驚いて固まる土方と青葉を余所にに、老主はやんわりと千鶴と平助を窘める
それを聞いた千鶴と平助は顔を見合わせると、悪戯を思い付いた笑みを浮かべた
「「はぁーい♪」」
『…千鶴、平助…』
和菓子屋を後にした四人は、再び歩を進める
土方と青葉は不機嫌そうに二人を睨みながら…
「いーじゃん、今日だけさ?なぁ千鶴」
「今日だけ、お願いします!」
笑みを浮かべて二人は、懇願。暫くすると、土方と青葉から深い溜息が漏れた
「『今日だけだからな」』
「「やったぁ!!」」
そうして今日の買い物の間限定だが、千鶴と平助は二人を【父様・母様】と呼ぶ事になった
*****
「父ちゃん、アレが欲しい!」
「却下だ」
「……母ちゃーん!」
『…あー。値が張るから駄目だね…』
***
「母様、これどうかな?」
『んー。千鶴にはこっちが似合いそうだが…』
「…父ちゃん。母ちゃんと千鶴、いつまでかかんの?」
「…俺に聞くな」
***
「鈴々音、屯所への土産は何にする?」
『かさ張らない物』
「…食い物で良いか?」
『良いんじゃない?』
***
『……コレ、良いなぁ』
「「「夕飯の買い出しじゃないから!」」」
mae tugi
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