No.04

消毒液の香りが鼻につき、独特な雰囲気は何処か別世界を思わせる

弟からの情報に、俺は驚愕した。簡単にヤられる人ではないと、知っているからである



『……………』



けれど眼前のベッドに横たわる人物は、紛れも無く本人で。巻かれた白い包帯が痛々しく感じた

探偵嬢に聞けば恐らく、この場所を直ぐに特定出来ただろう。だがアチラは現在立て込み中、自身の情報網を行使して場所を割り出した。割りと時間は掛からなかったが



『……馬鹿』



気配に敏感なのに、気付かないのは麻酔の効果だろう。巻かれた包帯をそっと撫でる、白い包帯の一部が鮮血で染まっていた。どんだけ深いんだよ、オイ


つかまず冷静じゃなかっただろ、アンタ。弟から大体は聞いている、何故孤立していた?

ライブ会場襲撃は囮だと…いつものアンタなら、とっくに気付いていただろ?頭に血が上り過ぎてんだよ、阿呆が



『……ほんと、馬鹿』



彼女の事は、探偵嬢と弟経由で知った。こんな所で寝てる場合じゃねぇだろ、アンタ。彼女を守ってやれ、12年前の約束なんざ反故も当然だ



『…"いたいの、いたいの、とんでけー。いたいの、いたいの、とんでけー"』



昔と立場が逆になったな
前は良く俺が怪我して、アンタがコレを唱えてくれたっけ

カチリと金属音が、室内に響く。約束はもう良い、自由になって良いよ



餓鬼の戯言だったんだ



だから……



『………早く、目を覚ましてよ…壮兄…』



一筋の雫が流れたのは

気のせいだと思い込んで


11.11.15.




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