『ナル?』
「………」
室内に篭りきりの弟に声を掛けるが、全く反応無し。こりゃよっぽど彼への襲撃が応えてんな…意識は未だに戻らんらしいし。だからってコレはいかん、平坂組の馬鹿共は決起するぞ。莫迦だから
『ナル、このままで良いのかい?』
「だって…四代目が…」
『その四代目だっけ?んな簡単にくたばる人なのか?』
「そんな事ないっ!!」
珍しい、弟が叫ぶなんて
だがそれ程、彼を信頼しているのだろう。無駄に面倒見良いからなぁ、我が弟はソコに惹かれたのかもしれないな
『ナルが部屋に篭っていてもな、その四代目が意識を取り戻す訳でも、事態が良い方向に進む訳でもない』
「…そ、それは…」
彼と義兄弟の盃を交わしたのなら、託されている筈だよ。だが彼はそう易々と、他人に託す人ではない
『今、鳴海にやるべき事がある筈だろう。いや…鳴海にしか出来ない事が』
「…僕に、しか、出来ない事…」
伊達や酔狂で彼は、義兄弟の盃を交わさない。彼は彼なりに、我が弟を認めているのだろう。そう考えると、血は争えないっーか何っーか…
『部屋に篭ってないで、外に出なさい。何か分かる筈だ』
「……………」
『雛村壮一郎は、んな簡単にくたばらないよ』
「えっ?」
俺に出来る事はこれ位、後は鳴海次第。ま、上手く立ち回れるだろう
この子はキレると何故か、妙に頭の回転が早くなって度胸も出てくる
『…血筋、かねぇ…』
ふと弟の将来が不安になってきた…詐欺師とかにならんでね
まぁ、彼がいれば大丈夫だと思い、たい…うん…
11.11.29.