「姉御、そろそろ新人が来る時期っス」
『もーそんな時期か』
一般には知られてないが、ギアステーションの整備士は駅員並に存在する
ライモンシティは大都市
その地下を走る地下鉄網は、各シティに繋がっており、本数も半端ない
それと比例して、駅員と整備士の数が多いのだ
「今年はアタリがいると良いっすねー」
『…去年はハズレのオンパレードだったからな…』
整備士になるにはまず、免許を取得しなければならない
その免許も簡易に取れず、取れても研修期間が設けられる
「ま、新人も驚くでしょうね」
『ウチはウチ、ヨソはヨソ』
ギアステーションは他駅と異なる、独自整備士体制
大御所過ぎる為に、独自体制を取らざるを得ないのだ
その代表格と言えるのが、実力主義である。通常有り得ない事だが、ココではそんな悠長な事は言ってられねぇ
俺達のミス一つで、駅員も乗客も…下手すりゃ御陀仏になる様な事故を起こしかねない
「今年は何人すか?」
『15人。装備は既に発注済み』
「流石、姉御。抜かりねぇや」
緑ツナギ、作業帽、各役職を表す腕章が、ギアステーション勤務整備士の標準装備
腕章は自身の担当車両も現す、身分証明書も兼ねてる
また整備士長と副整備士長のみ、腕章でなく赤と金のピンバッチで役職を示す。これは俺達の実力を示すと共に、上の役職を示している
『つかまず、学校の教育何とかしねぇとな』
「あればっかは、どうにもならねぇっすよ。伝統になりつつあるみたいっすから」
『どうにかして貰わないとコッチが困る』
新人達は何をどう勘違いしてるんだか、バトル車両を希望する。上級生から下級生に脈々と受け継がれている、嫌な伝統だ
大抵の理由は、バトル車両の方が給与が良い…との事だが
それは大きな間違いだ
確かに一般車両とバトル車両では、作業量が違う
だが給与事態は、どちらも大差無い……というか、俺がさせた
『ったく…んな勘違いをして貰うと、人手不足にならぁ』
「あ。だから構内備品整備も、俺達の役目なんすね」
『そゆこと』
仕事がないなら、作れば良い
てな訳で構内の備品整備も、俺達整備士の担当。これで給与が平均になるって寸法さ
『さぁて。今年は何人、生き残る事やら』
新人教育
(こんなの聞いてねぇ!!)
(先輩の話と違ぇ!!)
(((あぁ…昔を思い出すな…)))
疑念から生まれた話
夢主がそんなの放置する訳ない
11.12.29.
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