あれから駅長の許可をぶんどり、何とか駅員達を説得
リザードンにかっ飛ばして貰い、ノボリとクダリの実家に辿り着いた
リリーさんに出迎えられ、通されたのは客間。そこには休暇中のサブマス二人の姿が
「サータ!?なんで!?」
実家でのんびりまったりしていたサブマス二人は、大いに驚いてる
そりゃそうだろ。俺がここにいる事態、まず可笑しいからな
『…悪いが、口裏合わせてくれ』
「え、ええ…それは、構いませんが…」
戸惑う二人を余所に、俺はずっと扉を睨み続けてるだけ
すると突然、客間の扉が開いた
「アータっ!!」
「「えっ!?」」
驚くのも当然至極
二人にとって見知らぬ女性が、俺の事を別の名前で呼んだんじゃな
『母様…』
そう。彼女は俺の母親
「ユリア。駄目よ、急に呼び出したら。アータちゃんにも仕事あるんだから」
「ごめんなさい、アータ。わたくし…わたくし…どうしても淋しくて…」
ったく。相変わらずだな…いい加減子供離れしてくれねぇか?
『母様…私、新しいプロジェクトリーダーに抜擢されましたの。母様に寂しい思いをさせてしまって、本当にごめんなさい』
これは嘘じゃねぇ
サブウェイマスターに就任したからな…だから会う機会が減ったんだが
すると母様はみるみる、表情を綻ばせた
「まぁ!そうだったのね!わたくしも鼻が高いわ、流石アータね!!」
***
『…悪かったな、不快にさせて』
暫く会話を交わした後、母様は体調が悪くなり部屋へと戻って行った…ったく。年甲斐もなくはしゃぐから
「サータちゃん、飲み物よ」
リリーさんから飲み物を受け取り、怪訝そうな表情の双子へ口を開く
『母さん、精神がちとな…』
元々弱いヒトだった、と聞いている
幼な心に、彼女の言動に可笑しいと思った時が多々あったし
「アータって…?」
クダリの言葉に、空気が凍る
その名前こそ、母様があぁなった理由の一つだからだ
『…駆け落ちした俺の双子の妹さ』
重圧
(と言うか。何で母さんとサータのお母さんが知り合い?)
(あら、言わなかった?私はカントー生まれなのよ)
((ええっ!?))
***
リリー/ノボリ・クダリ兄弟の母
きっぷの良い女性で、サータの母・ユリアの親友。またカントー出身
11.12.01.
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