19ーlane

「サータちゃん!アータちゃん!」



何とか俺の熱も翌日には引き、母様がいる双子の実家を訪れる事に

油断大敵です!!、とノボリがとんでもねぇ形相で言い寄る為に、交通手段は電車選択された…お前はどこぞのオカンか


双子の実家に着いた早々、彼らの母リリーさんから厚い歓迎を受けた俺とアータ。リリーさん、息子放って良いんですか?



『お、おば様…』

「母さん、サータ達知ってたんだ」



呆ける二人だったが、直ぐ我に返る

……あ?覚えてねぇ?



『…っーかな。俺達、ガキの頃に会ってんだぞ?』

「「「……えっ!?」」」



ま、当然だろう
当時の俺達の年齢を考えればな



「覚えてないのも無理ないわ。当時サータちゃんとアータちゃん、いくつだったかしら?」

『4才、だったと』

「じゃあ、ノボリとクダリは6才位ね。会ったといっても、ほんのわずかだし」



そうか、当時二人はその位だったか…そこは忘れてた



「…良く覚えてたわね…」

『双子の兄弟だったから、印象強かったんだよ』



お前ら、滅茶苦茶似てたからな…ありゃ忘れたくても忘れねぇ



「小さな頃からサータちゃんは、記憶力良かったわぁ」

『…おば様…』



そろそろ昔話は終わりにしよう

今回来た目的を、果たさなければ



「…ええ。アータちゃん、ユリアと会う?」

「え?」

『母様な、おば様の所に世話になってんだ…精神的にかなり、な…』

「…そこまで…」



アータが悲しげに目を伏せる

容態は悪化の一歩を辿るばかり…何かしらの変化がない限り、母様はあのままだろう



『年期の長い執事達さえ分からん。おば様には、迷惑掛けてばかりで』



母様が精神を病んだ事を聞き付けたリリーさんは、親父に自ら母様の世話をすると申し出た

親父の多忙さや、実家の事を知ってるが故の判断なんだろう


俺は彼女に足を向けれない程、感謝している



「良いのよ。大親友が大変な時に、手を差し伸べない友人がどこにいますか」

「…母さん…」



恐らくノボリクダリ兄弟に、リリーさんはこの件を伏せてくれていたのだろう

ほんっとに俺、彼女には感謝しきれねぇ



『アータ、母様に会うかはお前が決めろ。お前自身でケリを付けるんだ』

「……………………」

「アータ…」



真っ直ぐ俺はアータを見詰める、決めるのは俺でなくコイツ自身だからだ

僅かな間、目を伏せていたアータだったが…その瞳がゆっくりと開かれる

そこには戸惑いも不安もない、強い決心の光を秘めた瞳があった



「会います、母様に」

『…わかった』



決意

(これが吉と出るか、凶と出るか)


***
ダブル双子の出会いは後々…



11.12.19.

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