『久々の帰郷でコレか、アータ』
「………………」
駅長室を借りた俺は、人払いをして眼前の女と対立していた
コイツこそ、駆け落ちした俺の双子の妹…アータなのだ
『ったく。成長したかと思ったら、全然成長してねぇな』
「っ!貴女に何が分かるのよっ!!」
『………あ?』
いきなり声を張り上げるアータに、俺は眉を潜める
どういう事だ?
「貴女が家を出てってからと言うもの、母様の期待が一辺に私に向けられた!私がどれだけ苦しんだか、貴女は分からないでしょうね!トレーナーとして、のうのうと旅をしていた貴女には!」
………………………
『…言いたい事は、それだけか?』
「なっ!?」
全く分かってねーな
まぁ母様が俺の不在中、コイツに期待を寄せるのは分かっていた。一応母様に釘を指したんだが、無駄だったか
『まず初めに、カントーからイッシュに引っ越す理由…知ってるか?』
「理由…し、知らない…」
『すっとぼけんな、お前が駄々捏ねたんだろーが』
12の頃まで俺達はカントーに住んでいた…のにも関わらず、突然イッシュへの引っ越し
言い出しっぺはアータだったらしい
「そ、それは…」
『テメェはガキの頃からさんざ我が儘だった。その被害に合うのは、大概俺だ』
「な、何を…」
戸惑うアータに、俺は容赦無く言葉を叩き付ける
言っておくが双子の妹でも、容赦しない
『引っ越し当日。その日俺は…トレーナーとして旅立つ予定だった』
「………………」
どうやら知らなかった様だ
アータはこれ程かというくらいに、目を見開く
『それを急にイッシュへ引っ越すから、中止だと?ふざけるな』
「し、知らない!知らないわ!!」
耳を塞ぎ、アータは首を左右に降る
逃げるな、逃げて何になる
『イッシュに越して来たあと。俺は両親と相談し、説得した。カントーで旅立つ事が出来なかった、だからイッシュで落ち着いたら旅立ちたいと』
そう。カントーで旅立てなかった俺は、何度も両親と話した
俺は旅がしたい、と。トレーナーとして修行したいと
『両親は最初渋ったが、理解してくれたよ。お前にも話したぞ』
アータにも話した筈だ、忘れたとは言わせねぇ
『何時までも甘えてんな、糞餓鬼』
擦れ違う過去
(…あの子がサータの妹…)
(クダリ、静かにしなさいまし。サータにバレてしまいます)
(立ち聞きしてるのバレたら、どうなると思う?)
(運良くて数時間の説教、という所でしょう)
(……あ、やっぱ?)
***
因みに夢主は気付いてます(笑)
11.12.05.
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