12-lane

『久々の帰郷でコレか、アータ』

「………………」



駅長室を借りた俺は、人払いをして眼前の女と対立していた

コイツこそ、駆け落ちした俺の双子の妹…アータなのだ



『ったく。成長したかと思ったら、全然成長してねぇな』

「っ!貴女に何が分かるのよっ!!」

『………あ?』



いきなり声を張り上げるアータに、俺は眉を潜める

どういう事だ?



「貴女が家を出てってからと言うもの、母様の期待が一辺に私に向けられた!私がどれだけ苦しんだか、貴女は分からないでしょうね!トレーナーとして、のうのうと旅をしていた貴女には!」



………………………



『…言いたい事は、それだけか?』

「なっ!?」



全く分かってねーな

まぁ母様が俺の不在中、コイツに期待を寄せるのは分かっていた。一応母様に釘を指したんだが、無駄だったか



『まず初めに、カントーからイッシュに引っ越す理由…知ってるか?』

「理由…し、知らない…」

『すっとぼけんな、お前が駄々捏ねたんだろーが』



12の頃まで俺達はカントーに住んでいた…のにも関わらず、突然イッシュへの引っ越し

言い出しっぺはアータだったらしい



「そ、それは…」

『テメェはガキの頃からさんざ我が儘だった。その被害に合うのは、大概俺だ』

「な、何を…」



戸惑うアータに、俺は容赦無く言葉を叩き付ける

言っておくが双子の妹でも、容赦しない



『引っ越し当日。その日俺は…トレーナーとして旅立つ予定だった』

「………………」



どうやら知らなかった様だ
アータはこれ程かというくらいに、目を見開く



『それを急にイッシュへ引っ越すから、中止だと?ふざけるな』

「し、知らない!知らないわ!!」



耳を塞ぎ、アータは首を左右に降る

逃げるな、逃げて何になる



『イッシュに越して来たあと。俺は両親と相談し、説得した。カントーで旅立つ事が出来なかった、だからイッシュで落ち着いたら旅立ちたいと』


そう。カントーで旅立てなかった俺は、何度も両親と話した

俺は旅がしたい、と。トレーナーとして修行したいと



『両親は最初渋ったが、理解してくれたよ。お前にも話したぞ』



アータにも話した筈だ、忘れたとは言わせねぇ



『何時までも甘えてんな、糞餓鬼』



擦れ違う過去

(…あの子がサータの妹…)
(クダリ、静かにしなさいまし。サータにバレてしまいます)
(立ち聞きしてるのバレたら、どうなると思う?)
(運良くて数時間の説教、という所でしょう)
(……あ、やっぱ?)


***
因みに夢主は気付いてます(笑)



11.12.05.

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