「なんか、ゴメンね」
「…大変申し訳ありません…」
ノボリとクダリが申し訳なさそうに俯く。コイツらは今日午後から明日にかけ、休みなのだ
つか休むざるを得なかった、と言った方が正しい
実家からいい加減に顔を出せ、と連絡が来たからだ…しかもステーションに直接。まぁそれもそうだ、正月すら顔を出してなかったそうだからな
なもんで。駅長と相談した結果、こうなった訳
『良いよ。親孝行してこいや』
まぁ他の駅員達も協力してくれとるし、挑戦者が来た所で俺が代打で出れば良い
…ダブルやマルチは苦手なんだが、何とかなるだろ…
不意に俺のライブキャスターが震える。本来ならば、職場に個人用を持ち込むのは禁止されている
だが俺は仕事用を駅員達との連絡回線に使用しており、個人用は整備士達との連絡回線として、特別に使っていた
勿論駅長やノボリ達の許可は貰ってる、つか分けないと捌ききれん
『サータだ』
――…サータちゃん。久しぶり!
相手が整備士かと思いきや、画面に映ったのは思いがけない女性(ひと)
『……おばさまっ!?』
――…ごめんなさい、仕事中に。ちょっとウチに顔を出して貰えるかしら?
『…は?』
おばさま?何を?
――…ユリアちゃんが、ね…
成る程、おばさまの表情が雲ってるのも当然だ
つか俺…抜けても大丈夫だよな?
『…分かりました。職場の者に説明して来ます』
――…ごめんなさい。無理言って、ノボリとクダリの休暇を取ってくれたのに…
そう。彼女こそ、ノボリとクダリの母・リリーさんだ
『おば様が気にする事じゃありませんよ、ではまた』
ライブキャスターを切り、俺は深い溜め息を漏らす
『…まずは…』
駅長に連絡、駅員達と整備士達にも連絡入れな
んな時間、掛からないとは思うんだが…
『……………はぁ』
彼女の重荷
(凄ぇ億劫…)
***
ノボリクダリの母、捏造
11.11.29.
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