09-lane

「なんか、ゴメンね」

「…大変申し訳ありません…」



ノボリとクダリが申し訳なさそうに俯く。コイツらは今日午後から明日にかけ、休みなのだ

つか休むざるを得なかった、と言った方が正しい


実家からいい加減に顔を出せ、と連絡が来たからだ…しかもステーションに直接。まぁそれもそうだ、正月すら顔を出してなかったそうだからな

なもんで。駅長と相談した結果、こうなった訳



『良いよ。親孝行してこいや』



まぁ他の駅員達も協力してくれとるし、挑戦者が来た所で俺が代打で出れば良い

…ダブルやマルチは苦手なんだが、何とかなるだろ…


不意に俺のライブキャスターが震える。本来ならば、職場に個人用を持ち込むのは禁止されている

だが俺は仕事用を駅員達との連絡回線に使用しており、個人用は整備士達との連絡回線として、特別に使っていた

勿論駅長やノボリ達の許可は貰ってる、つか分けないと捌ききれん



『サータだ』

――…サータちゃん。久しぶり!



相手が整備士かと思いきや、画面に映ったのは思いがけない女性(ひと)



『……おばさまっ!?』

――…ごめんなさい、仕事中に。ちょっとウチに顔を出して貰えるかしら?

『…は?』



おばさま?何を?



――…ユリアちゃんが、ね…



成る程、おばさまの表情が雲ってるのも当然だ

つか俺…抜けても大丈夫だよな?



『…分かりました。職場の者に説明して来ます』

――…ごめんなさい。無理言って、ノボリとクダリの休暇を取ってくれたのに…



そう。彼女こそ、ノボリとクダリの母・リリーさんだ



『おば様が気にする事じゃありませんよ、ではまた』



ライブキャスターを切り、俺は深い溜め息を漏らす



『…まずは…』



駅長に連絡、駅員達と整備士達にも連絡入れな

んな時間、掛からないとは思うんだが…



『……………はぁ』



彼女の重荷

(凄ぇ億劫…)


***
ノボリクダリの母、捏造


11.11.29.

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