04

この国は"悪魔"という、未知数の脅威に晒されている
だが実際悪魔は"元々存在していなかった"モノであり、それは同時に防衛策を持ち得ない事であった

それが一番厄介であり、面倒な事柄である。策を持ち得ないという事は同時に、知識もないという事。説明した所ですんなり理解してくれるとは思えない

だが現状で被害が出ている為か、説明はすんなり受け入れられた。否、受け入れるしかないのだ

このままでは国が消滅してしまうという、最悪な事態に成りかねない。そこで俺はまず、国民達の知識向上から始めた
それと同時進行で市内外を四分割に分け、対悪魔への区域責任者を作って貰った。俺が不在の時も責任者がいれば、当面は持つだろうという計画の一部である

意識向上が進むと、国事態に対悪魔用の結界を施し始めた。これがまた厄介で、既に張られた結界に影響を出さず、尚且つ悪魔の侵入を防ぐ効果を用いる結界にしなければならない。この結界を組み上げるのに、一週間近く掛かった

結界を張る間、俺の周囲で様々な変化が起きた
俺の近隣に住んでいた王宮仕えの文官が、俺に王宮の仕事を斡旋してきたのだ。どうやら俺の作業振りを見て、王宮でもやっていけると判断したのだろう。周囲からの賛成の意見もあり、その斡旋を受ける事にしたのが一つ

もう一つは俺のすぐ側に住んでいた大家族の大黒柱が、実は八人将の一人だという事だ。俺の"本職"は王宮に流れぬ様、皆には箝口令を敷いている。然れどまさかこんな近くに、八人将がいるとは思うまい。まぁ彼自身は口外しないと固く約束して下さったので、とりあえず一安心

日に日に受け入れてくれる人達が増える分、箝口令に対して申し訳ないと思う
だが王宮務めが決まった途端、皆は箝口令をより強く引いた。俺が何も言ってないのにも関わらず
俺が王宮で働くに差し当たり、不備がない様にと皆が気遣ってくれたらしい。更に大家族の大黒柱殿は王宮について、事細かく師事して下さった。そんな事もあり、皆の思いを無駄にせぬ様、俺は王宮では"仮面"を被ろうと決意する

王宮での務めは、俺の知識欲を掻き立てる場所だった。今まで知り得なかった知識が、山の様に埋もれているではないか!表情には出さないが歓喜したさ

それと同時に義弟を思い出した
コチラで出来た"義弟"、最後に会ったのは俺が世界へ旅立つ直前だったな。ピーピー泣いて、何時までも泣き止まない状態には参ったっけな

あの子は今、どうしているだろう?息災でいるだろうか?
外見は母親似だが、中身は父親にソックリなあの子の事だ。逞しく…そして優しい子になっている事だろう


願わくば
我が義弟に、加護があらん事を



4夜 過去語り


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