02

悪魔は人の心に漬け込む、特に負の感情をとりわけ好む

***

この世界に送り込まれ、早数年

第一発見者が良かったのか、運良くこの世界の知識を得る事が出来た。今も"あの御方"には感謝しきれない

今俺は南方の島国・シンドリアに滞在している。この気候からか住人の性格は穏和で、過ごし易い環境が気に入ったからだ。現在は宮殿の文官見習いとして、精進する毎日………なのだが



『何故こう頻繁に現れる?』



俺がこの世界へ送り込まれた"理由"を考えれば、多少は理解は出来るのだが…世界を渡った経験から、この頻繁さは有り得ない

出没しても稀に一体位なのだが、この国に関してはもやは別件と考えた方が良いだろう。何せ最近は2日に一体、最悪時は1日二体現れる始末だ。これを異常と言わずして何と表現出来よう?



『身体がもたねぇよ…』



幸いな事は市内で多発していない事と、発生するのは開けた場所。そして王宮に仕えている者達に、被害がない事だろう

俺を王宮に推薦したヤツは、それを見越して推薦したんだろうな…

だがこの案件、発生率からして可笑しい。何かしらの"原因"がある筈…恐らく"ジン"ではないか、と予測を立てている

彼等は力在る存在、そして力に惹かれてやってくるのではないか?
そう仮説を立ててみると、この国の異様な発生率に納得がいく。何せ国王が複数のジン契約者なのだから



『かといって、どうしたものか』



仮説が真意かどうかは不明
然れど国民達に危害が及ぶ事は、俺も好む所ではない

今最善すべき事は、案件の原因を突き止める事
それが"世界のもう一つの異変"を止める為の術であり、俺の役目だ



2夜 もう一つの異変


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